三菱自動車不正 開発部署を立ち入り検査
三菱自動車が、自社が製造する軽自動車の燃費のデータを操作し不正に良く見せかけていたことが分かった。燃費のデータが不正に操作されていた軽自動車は4車種、合わせて62万台以上にのぼる。
三菱自動車・相川社長「(燃費データの)操作は意図的なものであると考えています。数字を良く、良い燃費に見せるという意図があったのは確かですが、なぜ不正までしてやろうとしたか、現在、調べていて分かっていません。私としてはこの件について把握していませんでした」
三菱自動車は20日午後5時から会見を行い、軽自動車の燃費を良く見せかけるため不正に操作したデータを国に提出していたと明らかにし謝罪した。
燃費データが不正に操作されていたのは、三菱自動車の「eK」「eKスペース」と、三菱が日産自動車向けに生産している「デイズ」「デイズ ルークス」の4車種、合わせて約62万5000台。実際の燃費は、不正に操作したデータよりも5~10%程度悪くなるとみられるということで、三菱自動車は20日、この4車種の生産と販売を中止したという。
日産自動車からの指摘を受けて社内調査を行った結果、不正が発覚したということで、4車種の開発を行っていた2012年当時に、排ガスや燃費の性能を担当する『性能実験部』の部長だった当時50代の男性が、社内調査に対し「自分が指示をした」と話しているという。
また、会見ではこの4車種を含む約10車種で、国が定めた正規の方法と異なる方法で燃費試験を行っていたことも明らかになったが、三菱自動車によると、これは試験時間の短縮のためだった可能性が高いという。また、実際の燃費に基づき、エコカー減税の優遇措置が変わった場合は、三菱側が差額を負担する考えを明らかにしている。
三菱自動車は今後、有識者による外部の調査委員会を立ち上げ、3か月後をメドに調査結果をまとめるとしているが、相川社長は「今月13日に報告を受けるまで不正を知らなかった」とし、「一刻も早くこの問題を解決し、再発させない道筋をつけることが責任だと考える」と述べ、自身の進退については明言を避けた。
今回の問題を受け国土交通省は、三菱自動車に対し、27日までに不正の詳細を報告するよう指示した。また、愛知県岡崎市にある三菱自動車の開発部署に対し、20日午後、道路運送車両法に基づく立ち入り検査を行っていて、引き続き21日も立ち入り検査を行う方針。
国交省は今回の件を「恣意(しい)的で悪意のある行為で自動車検査制度の信頼性を損なうもの」とし、他の自動車メーカーに対しても同様の不正がないかどうか調査し、1か月後の来月18日までに報告するよう指示した。