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地震でおうち怖い…心のケア3つのポイント

2016年5月16日 18:08
地震でおうち怖い…心のケア3つのポイント

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。16日のテーマは「子供を守る」。日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。


■子供が怖がって…
 熊本地震の「本震」から16日で1か月がたった。学校なども再開され、安全が確認できた場合は自宅に戻る子供も多いと思う。

 その一方で、「子供が怖がって家に入ろうとしない」「夜になると怖がって泣く」といった相談が保護者から寄せられているという。そこで、「そうした子供や保護者の参考になれば」と熊本市が絵本を作った。


■やっぱりおうちがいいな
 絵本のタイトルは「やっぱりおうちがいいな」。当初は市のホームページにアップしていたが、インターネットを見られない環境の人もいるだろうということで、印刷機などを扱う企業が1000部カラー印刷をして綴(と)じたものを市に寄贈したという。

 表紙には「熊本地震の後に、建物の揺れや物が落ちてきたことによるトラウマで、家が怖くて帰れなくなった子供たちがいる」と書かれている。

 ストーリーはこうだ。地震が発生し、家族と避難した「あきらくん」。車中泊を2週間続け、余震が落ち着いたことから自宅に戻ろうとするが、震災当時を思い出し、「おうちはこわいよー。」と玄関前で泣き出してしまう。

 けれども、家族のサポートであきらくんは自宅に帰り、夜にはみんな枕を並べて眠った。そして、「やっぱり、おうちがいいな。」と言えるようになる話だ。

 ストーリーを考えたのは、熊本市子ども発達支援センターの木村重美所長。「一日でも早く子供たちが安心して家で過ごせるようになってほしい」との思いを絵本に込めたという。


■絵本で示した3つのポイント
 小児科医でもある木村所長は、この絵本で3つのポイントを示している。

 1つ目は「慣れた環境に近づける」。絵本では、いつも遊んでいた「くまモン」のぬいぐるみをあきらくんに渡していた。お気に入りのおもちゃが近くにあると、落ち着くこともあるという。

 2つ目は「安心できるスペースを作る」。物が落ちてこないように部屋を片付けて、「ここは片付けたから安全だよ」と示してあげることが大切だという。

 3つ目は「見通しを示す」。「また地震が来たら、ここに隠れてね。みんなで逃げるから大丈夫だよ」と具体的に伝え、時には抱きしめてあげると「大人が守ってくれるんだな」と、子供は安心感を得られるという。

 絵本なら子供にも分かりやすいし、子供の対応に困っていた保護者にとってはとても参考になるだろう。

 そして、大人でも恐怖を感じるような大地震だったから、子供にとってはなおさらだ。木村所長は「もし今日、家に入れなくても子供を叱ったり、無理矢理入らせたりせずに、安心できる環境を作って、気持ちが落ち着くのを待って、ゆっくり日常を取り戻していってほしい」と話している。


■子供が自分で自分の身を守る
 被災後の心のケアが進められる一方で、災害時に子供が自分で自分の身を守れるようにすることも大切となる。小さい頃から、いざという時にどうしたらいいか教えておきたいものだ。

 幼児向けの防災教育用カードゲーム「ぼうさいダック」。表には地震など起きることが描かれていて、裏にはその時取るべき行動が動物の絵で描かれている。

 例えば、地震の時は「ダック」。裏には頭を守るポーズをしているアヒルが描かれている。津波の時は「チーター」。裏には走るチーターが描かれていて、「できるだけ たかいところまで はしろう。」と書かれている。

 他にも、洪水や雷の時などに自分の身を守るための「最初の一歩」を、子供が遊びながら自然と身につくように作られている。

 この教材を作った一人・京都大学防災研究所の矢守克也教授は「災害時に子供が親や先生など大人と一緒にいるとは限らない。言葉で説明しなくても、動作で覚えられる幼児向けの教材も必要だ」と話していた。


■備えて“余裕”
 震災などが起きると、大人も大変なので、つい子供に強い口調で指示したりしがちだ。しかし、日頃から子供が自分で考え、行動できるように備えておくことで、いざという時に命を守り、親も余裕を持って子供と共に日常を取り戻せるようにしたいものだ。

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