あすIOCで検討 野球採用へ森会長の作戦
スイスで行われている国際オリンピック委員会の理事会で、日本時間の2日午後、東京オリンピックの追加種目について検討が行われる。国内で人気が高い『野球』の採用が不安視される中、どんな作戦で理事会に臨むのか、組織委員会の森喜朗会長に話を聞いた。
組織委員会は、東京オリンピックの追加種目に『野球・ソフトボール』『空手』『スケートボード』『スポーツクライミング』『サーフィン』の5競技18種目を提案している。このうち『野球・ソフトボール』については、アメリカ・メジャーリーグの選手の出場が不透明なことや、IOCの委員が多いヨーロッパやアフリカで人気が低いことなどから、追加種目への採用が不安視されている。
Q:野球・ソフトの採用に黄色信号がともっているというような報道もあるが、実際の状況とIOCとはどのような話し合いが行われている?
森喜朗会長「オリンピックというのは、スポーツの最高のプレーヤー、最高のアスリートたちが競い合う、そういう祭典ですよね。アメリカの一番強いプロ野球(メジャー)の人がいないのは、最高のチームじゃないんじゃないかということになる。オリンピックで勝ったチームよりも、メダルをもらったチームよりも、もっと強いチームが他にあるんですよと言ったら、オリンピックの意味がなくなる、じゃないのかな」
Q:現状メジャーリーガーの出場の可能性はどの程度話は進んでいるのか。
森喜朗会長「オリンピックということよりも、もっと別の自分たちのスポーツに価値観を求めてる人たちがいるんです。オリンピックよりもプロ野球の球団の経営の方がもっと大事です。プロ野球は産業の1つだと考えていると言っていいですね、アメリカの場合は。オリンピックでかつて野球が種目になっていたのに、外された理由はそこにもある。(追加種目として)野球を出すんであれば(採択を)個別にやっていたら、残念ながらIOC委員全部は賛成してくれないだろうと。IOC委員は半分以上…、IOC委員は(野球・ソフトが普及していない)ヨーロッパが多いですから、アフリカも多い。野球の投票というのは不利ですね。だからワンパッケージ論という考え方を(使う)。つまり種目を全部まとめて一括して、東京から提案された5競技の新種目をみなさんいかがでしょうかと、そういう問いかけをすればいいわけですね。それが野球はどうですか、空手がどうですか、サーフィンはどうですかとやったら、賛成反対がバラバラになっちゃう」
Q:今度の理事会でそれ(ワンパッケージ論)が崩されるような危険性は?
森喜朗会長「まずはないと僕は思っていますけれども、ただ理事は、それだけ色んな意見を言う人があって、個別にやるべきじゃないかという意見が出ないとは限らない。だからちょっとそこは心配なことは心配ですね。日本に提案権があるわけですから、ワンパッケージで提案させてもらったし、そのやり方を変えるということになると、これは重大な問題になりますから。そういう方向に行かないように、またそういう決定にならないように、我々は注意しておかないといけないと思いますね。日本にとっても野球は一番人気があるし、野球は大事な国技みたいなもの。(野球が採用されれば)それだけ多くのファンが喜ぶんじゃないか」
野球・ソフトボールは、東京オリンピックの追加種目に採用されるのか。注目のIOC理事会でのプレゼンテーションは、日本時間の2日夕方行われる予定。