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“違法性なし”続投表明 舛添知事会見詳細

2016年6月6日 19:51
“違法性なし”続投表明 舛添知事会見詳細

 東京都の舛添知事が6日、政治資金などをめぐる一連の疑惑について調査結果を公表した。舛添知事は冒頭、謝罪したものの、「生まれ変わった気持ちで都政に尽くしたい」と続投の意向を示した。一部、「不適切」とされた調査結果の内容はどのようなものだったのか。


■険しい表情で会見場に…
 先月20日に第三者による調査を行うと発表してから17日、舛添知事はついに調査結果を明らかにした。6日午後4時、険しい表情で東京都庁の会見場に入った舛添知事の会見は、謝罪から始まった。

 「この度は私の政治資金等につきまして様々なご指摘を頂き、都民の皆さまはじめ、多くの方々にご心配をおかけしたことを心からおわび申し上げます」


■舛添知事の“公私混同疑惑”
 舛添知事をめぐっては、都知事就任前に政治資金で家族旅行の宿泊費を払うなど、数多くの公私混同疑惑が出ている。そして、都知事就任後は「海外出張の費用が高すぎる」という指摘や、「公用車を私的に利用しているのでは」という疑惑が上がっていた。

 会見には、調査を行った2人の弁護士が同席した。そのうちの1人は、元東京地検特捜部副部長・佐々木善三弁護士。佐々木弁護士は検察庁OBのいわゆる「ヤメ検」弁護士で、第三者委員会の委員を数多く務め、小渕優子・元経産相の政治資金をめぐる事件では小渕氏側が設置した第三者委員会の委員長を務めている。

 調査結果の公表は弁護士によって行われた。


■資金管理団体への寄付について
 2年前、都知事選に出馬した際、政党交付金429万円が知事個人の資金管理団体に移されていたことについて政党交付金や事務所賃料については「問題ない」と結論づけられた。

 佐々木弁護士「政党交付金の使途に関する制限がない以上、同支部の解散前に支出された寄付が違法性を帯びることはありません」


■多くの書籍購入について
 「書籍代」として多くの書籍を政治資金で購入していた舛添知事。これが私的な目的ではないのかということについては…

 佐々木弁護士「舛添氏は議員外交・首都外交を遂行するにあたって、政治家の日本画や西洋の海外に関する知識が必要であると考えている」

 「舛添氏がこれらの知識を政治活動に生かしているということもあるので、それらを購入するために政治資金を支出したことをもって、不適切と言えないし、もちろん違法とも言えないという結論にしております」


■多くの美術品の購入について
 美術が趣味と公言する舛添知事。政治資金で多くの美術品を購入していたことについては…

 佐々木弁護士「舛添氏の説明には納得できるものがありまして、絵画・版画を購入することは、政治活動と関わりがないとはいえないと考えました」

 「しかし、舛添氏が購入した絵画・版画の点数は、あまりにも多すぎる。違法ではないものの、政治資金の支出としては不適切であったという結論を出している」


■宿泊代・飲食費
 宿泊代や飲食費については、政治活動のための宿泊や飲食が多いものの、家族同伴のものなども含まれていて、政治資金を支出したことは適切とは言えないものがあると指摘。事務所兼別荘がある神奈川県湯河原町の回転すし店での飲食などは、私的な食事であった可能性を排除できず、是正が必要とした。


■宿泊代や飲食費は返金へ
 会見開始から40分、弁護士による調査結果の発表が終わると、舛添知事が話し始めた。今回の調査で不適切と指摘された宿泊代や飲食費については、返金する意向を示した。

 「違法な点はないと結果を聞きましたが、他方で公私の区別が曖昧な支出があって不適切であるという厳しいご指摘、大変恐縮しております」

 「今回の調査で(政治資金等の)使い方が必ずしも適切ではないと指摘される支出が多くなったことは、心から反省いたしております」

 「多くの方々から『他人には厳しいけど自分には甘いんじゃないか』と。『身銭を切ってないんじゃないか』『公私混同だ』と。そういう厳しい批判を受けております。そのことについても厳しく反省したいと思っております」 


■湯河原の別荘は売却へ
 そして、湯河原の別荘は、けじめのため売却するという。

 「今回の一連の件でございますけれども、湯河原の別荘について発端になりましたのは、私の湯河原への公用車利用でした。湯河原の別荘について、この件につきまして都民の皆様をはじめ、都議会の皆様、都庁の職員の皆様に大変なご心配・ご迷惑をおかけしているところでございます」

 「これからも私が湯河原に行くということがあれば、さらに皆様方に無用のご心配をおかけすることを大変危惧しております。そこで施設を所有する会社とも相談し、この際、湯河原の施設は第三者に売却するということで自らのけじめをつけたい。できるだけ早く買っていただける方を探して処置をしたい」


■記者とのやり取り

 記者「違法な点はないという報告を受けて正直ほっとしている?」
 舛添知事「不適切な点がたくさんあるという厳しい指摘を受けているので、まさに汗顔の至りでございます」

 記者「違法でなければ辞職まで至らない?」
 舛添知事「不適切であることを数多く、ここまで指摘されましたので、それについてはしっかりと対応を考えていきたい」

 記者「給与を一部返納するとか給与カットとか信頼を取り戻すために考えていない?」
 舛添知事「まずは明日からの代表質問・一般質問を通じて都民の代表である都議会の先生方としっかりと議論をして、そういうプロセスの中で考えてまいりたい」


■都知事は続投へ
 舛添知事は、今後も都知事を続投する意向を語った。

 「最後になりますけども、皆様にお約束しておりました調査報告をこういう形ですることができました。そして、私なりにいくつかけじめを表明させていただきました。今後もこの決意を実際に現実的に履行する過程で、調査していただいた先生方にしっかりと監督を受けていきたい」

 「明日から、今日の調査結果に対して都民の代表であります都議会の先生方から厳しい質問を受けることになります。先生方からの厳しいご意見やご指摘につきまして、今まで自分に足りなかったことを反省させていただける機会だと強く自分を戒めていきたいと思っております」

 「生まれ変わった気持ちで新たに都政のために尽くさせていただけるように明日からの代表質問・一般質問におきまして、都民の皆様への説明責任を丁寧に果たしてまいりたいと思っております」