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2016年6月17日 19:26

相次ぐ被害 なぜクマは人を“食べた”か?

相次ぐ被害 なぜクマは人を“食べた”か?
(c)NNN

 インターネットを中心に話題となった出来事の中から“もっと”知りたいニュースを取り上げる「news every.」鈴江奈々キャスターの「MOTTO」。今回のテーマは「クマから人体の一部」。

 秋田・鹿角市で、4人がクマに襲われ亡くなったが、その付近で駆除されたクマの胃袋から人体の一部と毛髪が見つかった。

 なぜクマは人を襲い、食べたのだろうか。そこにはクマのある“能力”が関係していた。


■たびたび出没するクマ

 16日、神奈川・相模原市で撮影されたのは、畑の中を走り去るクマ。さらに、17日朝、茂みの中で桑の実をほおばる姿が目撃された。実は相模原市では、先月もラーメン店にクマが出没。ドアには鼻のあとが残っていた。店長の斎藤さんはこう語る。

 「あまりのスピードの速さに自動ドアが反応しなくて開かなかった。一瞬でもやられるなと思いました」

 ドアが強化ガラスだったため難を逃れたという。


■ネットでも衝撃…

 全国で相次いで報告されるツキノワグマによる被害。中でも最大の被害は4人が死亡した秋田・鹿角市だ。駆除されたクマの胃袋からは人の体の一部が見つかった。この状況にネットでは――

「マジでクマこわい」
「ツキノワグマがまさかの人食い」
「平成最悪の熊事件」

 などの声があがった。衝撃の被害はなぜ起きたのだろうか。


■ツキノワグマの性格

 ツキノワグマとはどんな動物なのか?神奈川・横浜市にある動物園を訪ねた。飼育員がメスのツキノワグマ“ユマ”の名前を呼ぶと、名前に反応して体を起こした。自分の名前がわかっているようだ。

 エサは、リンゴやニンジンなどの野菜や果物を中心に与えているという。飼育員によると野生のクマも肉はほとんど食べず、まれに死んだ鹿の肉などを食べる程度だという。

 ツキノワグマの性格を尋ねたところ、「本来ツキノワグマは、とても臆病でおとなしい動物です」とのことだ。

 ではなぜ人を襲い“食べる”という行動をとったのだろうか。


■どんな生態なのか?

 生態を更に知るべく秋田県のくま園へ向かった。今年、生まれたばかりの子グマ7頭が元気に動き回っている。子グマの体調が良ければ、直接触れあうこともできるという。こちらではツキノワグマを約50頭、飼育している。飼育員がエサをもってくると、二足立ちでおねだりする姿も見られた。

 一般的に胸に白い三日月模様があることからツキノワグマと呼ばれ、体長は平均140センチ前後だが、立ち上がると人間の背丈ほどの高さになり、迫力がある。エサの取り合いで牙をむき出しにして威嚇する場面も。

 クマの姿をさらに間近で観察するため飼育員立ち会いの元、カメラを近づけてみると、カメラに興味を示し、手を出してきた。大きな手のひらには長い爪。ひとたび攻撃に出ると、大きなダメージを加えられる力があることがわかる。

 また、走る速さは最大で時速約50キロ。さらに、人が食べられる被害が相次いだのには、クマの驚くべき知能が関係していた。


■なぜ人を食べる?驚がくの知能

 ツキノワグマに詳しい専門家は、クマが人を食べたのは学習能力の高さが関係すると指摘する。

 「最初は偶然出会ってクマの方が防御的に人を襲ったか。そのときに、人間が楽にとれる良い獲物であることを学習してしまった。もし、射殺されたクマの他に人を襲って食べたクマがいるなら、再犯の可能性はあります」

 専門家によると、クマが人を襲うことを学習してしまった以上、むやみに山には近づかない方がいいということだ。


■クマの被害が多いワケ

 今年はクマの被害が相次いでいるが、東北5県でのクマの捕獲数の推移を見ると、1年ごとに増減を繰り返している。これは、クマのエサであるブナの量に関係している。

 豊作だった年はクマが十分に栄養をとれるため、翌年、たくさん子供を産みクマの数が増え、捕獲数も増える。ブナの実は、豊作と不作を1年ごとに繰り返している。そのため、今年は豊作だった翌年にあたるので、クマが多いとみられている。

 ではもし、ツキノワグマに遭遇したらどうしたらいいのか。飼育員に聞いた。

・絶対に背中を見せない
・急な動きをしない

 また、人間がクマの生息域を理解することも大事だという。

 クマの学習能力によって、出没する場所や餌の種類など生態が変わってきているようだ。これまでの経験による常識が通用しなくなってきているので、従来の固定観念にとらわれず警戒を新たにすることが大事だ。そういう意味では、私たち人間もしっかりと学習していくことが必要である。