GPIF運用損5兆円、支給額への影響は?
私たちに支払われる年金の一部となる「積立金」の運用状況が、昨年度、5兆3000億円あまりの赤字だったことがわかった。単年度の赤字は5年ぶり。私たちの年金にはどのような影響があるのだろうか。中央大学法科大学院・野村修也教授が解説する。
国にかわって、年金の積立金を運用している団体「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」は29日、年金積立金の運用が、昨年度5兆3098億円の赤字だったと発表した。
――積立金が損失ということだが、私たちの年金は大丈夫か?
現在は、私たちが国に保険料や税金を払って、それが高齢者らへの年金となっているが、過去には積み立て方式をとっていて、積立金が存在している。GPIFはその積立金を株や債権で運用することによって、利益をあげて、それが私たちの年金の一部として使われている。
従来は、安定的な投資ということで、国債に主に投資をしてきたが、収益性を高めるために、2014年10月から、国内と海外の株式に50%投資するようにした。そうするとリスクもあるということで、野党からは批判もある。
――実際に今回は5兆円の損失が出たが大丈夫か?
今回、5兆円の損失は出てはいるが、これまでの運用全体の実績をみてみると、実は全体では約45兆円の利益が出ている。また、年金の額は、100年間を通じて年金積立金を使いおわる形で決めているため、今回の損失で、ただちに、私たちの年金が減っていくということにはならないといえる。