「台風が温帯低気圧に変わる」その意味は?
台風情報を伝えている際に、台風は「熱帯低気圧に変わりました」あるいは「温帯低気圧に変わりました」という場合がある。今回、台風13号は「温帯低気圧」に変わったが、そもそもこの違いは何なのか。木原実気象予報士が解説する。
そもそも「熱帯低気圧」は、赤道に近い海水温の高い海域で発生する。海水からの水蒸気をたっぷり吸収して、やがて積乱雲が発生する。それがたくさん集まって、渦を巻いて台風になる。中心付近の風が強まると台風になり、それが日本列島に近づいてくると、海水温が低いので、中心の風が弱まり、台風から熱帯低気圧に変わる。
一方、「温帯低気圧」は、台風は熱い空気でできているが、その行く手に寒気(冷たい空気)があると、台風の熱い空気の渦巻きに冷たい空気が混ざってくる。そうなると、熱い空気と冷たい空気の温度差で回転をする温帯低気圧というものに性質が変わる。
一番の特徴は「温帯低気圧」の場合は、前線を伴うことが多い。かえって広い範囲で雨が降ったり、強い風が吹いたりする場合もある。つまり、「弱まった」というとらえ方は正しいとは言えない。
今回、台風13号は温帯低気圧に変わった。台風が持ってきた湿った空気がたくさんあるので、多くの雨雲を引き連れて、依然として日本列島沿いを進んでいる。今後も、注意が必要だ。