原発事故7年、被災地の犬や猫たちはいま…
東日本大震災で起きた福島第一原発の事故からまもなく7年。今回のテーマは「被災地の犬や猫たちのいま」。避難指示の出ていた福島県飯舘村に今も取り残されている犬や猫たちを記録し続けるカメラマンを取材しました。
「さくらちゃん、いい顔だね」――カメラマン上村雄高さん(46)。普段は、都内で犬や猫を撮影する写真館を経営しています。月に1回ほど、車で5時間かけて飯舘村を訪れ、残された犬や猫を撮り続けているんです。
飯舘村は福島第一原発の事故の影響で、住民5864人が避難。去年、一部の区域を除き、避難指示は解除されたものの戻った住民は1割にも満たない528人だけでした。
上村さん「ボランティア団体の方と知り合って、被災地に犬猫が取り残されていると知って、飯舘村の山の上の家に行ったら、犬が大雪の中つながれていて、そのシーンを見てしまったのが、その後も通うきっかけですね」
村に取り残されていた犬や猫は約600匹。鎖につながれていたり、放し飼いの状態だったといいます。民家の庭で放し飼いにされた犬もいました。ここで、週に1、2回帰ってくる飼い主をずっと待っています。
犬や猫たちのエサは、ボランティアが定期的に与えているそうです。上村さんも撮影の時は、飼い主たちの許可を得てエサをあげています。長い撮影になると、1か所で2時間以上も…。撮影した犬の表情は、おだやかに見えます。しかし――
上村さん「帰るときはいつもちょっと切ない感じ」
次に訪れた家は、近くに除染廃棄物がある場所。ここに残る犬たちを散歩しながら撮影。しかし、周囲には山積みの除染廃棄物が。飼い主は80代の夫婦。慣れない移住先では、周りへの配慮から引き取れないといいます。
飼い主「人がいっぱい居るから、うるさいんじゃないかなと思って、連れていかないの」
震災から7年。年を重ね、戻りづらい住民、一方で、犬や猫にとっての7年は、寿命の半分ほどの年月になります。上村さんが飯舘村へ来るときにかかる費用は、エサ代などで4万円ほど。これらはすべて自己負担だといいます。
それでも飯舘村へ行く理由のひとつは、必ず会いに行くという、ある猫。非常に、なついています。
上村さん「この場所に飼い猫が他に何匹か居たんですよ、以前。そのうちの一匹が野生動物に襲われて、ある日突然なくなった。来れば必ず次も会えるっていう保証は実はなくて、会えて無事がんばって生きているのが分かるとホッとするというかうれしい」
飯舘村で起こったことが風化しないように、今後も犬や猫たちが生きる姿を記録していきたいと話します。