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福島事故から7年 国が新型原発研究開発へ

2018年4月10日 21:42
福島事故から7年 国が新型原発研究開発へ

東京電力・福島第一原発事故から7年。「原発の依存度を減らす」と言っていた国が10日、事故後初めて、新たな形の原発の研究開発に乗り出す方針を示した。

シャツの襟元を大きく開け、まだあどけなさの残るこの青年。テイラー・ウィルソンさん、23歳。写真撮影を求められるなど大人気の様子。実は14歳の時、自宅の駐車場で核融合の実験に成功したという天才物理学者だ。

9日、都内で原発関連企業が一堂に会した総会が開かれていた。参加者の関心は彼の現在の研究に-。

テイラー・ウィルソンさん「もっと安全な原子炉、そして小型の原子炉が必要だ」

トラックで運べるほど小さい全く新しい“小型原子炉”。

小型原子炉は、これまでのように国内数か所の巨大な原発から各地に電気が送られるのではなく、例えば、町ごとに小さな原発が散在するイメージ。低迷する国内の原発業界は今、この新たな原発の登場に熱い視線を注いでいる。

テイラー・ウィルソンさん「明るい未来が我々の前に広がっていると思います。私自身、私たちの世代もそう信じています」

日本の原発政策はどこへ向かうのか-。

10日午後、国の有識者会議が2050年のエネルギー戦略の提言を初めて打ち出した。二酸化炭素の排出削減をめざし、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを将来の「主力電源」と位置づけた。

一方、原発については「徐々に依存度を下げる」と明記したものの、「原発産業の基盤強化に直ちに着手」として、原発維持の方針を打ち出した。そこではあの小型原子炉の開発などが視野に入れられている。

有識者会議に参加した産業界の代表からは-。

小松製作所・坂根正弘相談役「再エネだけで生きていけるような確証があるなら私も(原発)反対です。ですけど、今とてもじゃないけどそんな確証はありません」

次期経団連会長・中西宏明氏「福島、大変重い現実であること一切否定はしませんけど、もうそろそろ好きだ嫌いだという観点で(原発を)議論するのから脱したい」

原発回帰に舵(かじ)を切るのか、大きな岐路に差しかかっている。