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LGBTフレンドリーな人は「手をあげて」

2018年7月3日 15:47
LGBTフレンドリーな人は「手をあげて」

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「LGBT当事者 家探しに苦労」。トランスジェンダー当事者であり、様々な取り組みを通じてLGBTの人が暮らしやすい社会を目指す杉山文野氏に聞く。

住宅情報などを扱う会社が、LGBTでかつ、同性のパートナーがいた人に行った調査によると、家探しをする際に「非常に苦労した」「やや苦労した」と答えたのは、44.3%にのぼった。苦労したこととして、アンケートの中ではこんな意見が見られた。

「不動産会社の人から偏見の目で見られた」
「女性同士の入居を不審がられた」
「断られた」


――こうした調査結果について、杉山さんのご意見を書いていただきました。

「ウェルカミングアウト」。LGBTの当事者といっても、ひとくくりにはできない色んな課題があり、それぞれが違います。特に、言わない限りわからない“LGB”と、見た目が変わっていく“T”は、全然違う課題だったりするんですね。

どちらにせよ、セクシュアリティーは目に見えない。僕がここに座っていても、“元女子”とはなかなかわからないと思うんですね。そこにはいない人たちと思われがちなんですけれども、そこにいないのではなく“言えない”という現実があるだけなんです。

ただ、それは当事者も目に見えないんですが、そういうのにフレンドリーな人たちのこともなかなか見えづらい。なので、当事者のカミングアウトではなく、周りの方たちが「ウエルカムです」と言っていただけると、すごくスムーズなんじゃないかなと思っています。

つい先日、ゲイの友達と話をしていた時、男性同士で家を借りようとしていたら大家さんに断られてしまったというケースがあったそうです。男女のカップルであれば婚姻関係がなくても借りられるのに、男性同士はだめだと言われてしまったということで、なかなか借りづらい現実が本当にあるんですね。

そういうときに、わざわざ嫌だと言っている人のところに行かなくても、フレンドリーに「うちだったら全然大丈夫です」と手をあげていただけるところがあれば、スムーズなんじゃないかなと思います。


――どうやって手をあげたらいいのでしょうか?

レインボーのマークは、世界共通の“性の多様性”を表すフラッグなんですけれども、最近はよく不動産屋さんでも、カウンターにそういうものを置いといてくれていたりしますし、シールを貼っておいてくれていたりするだけでも、「ここはフレンドリーなんだな」とわかりやすいです。

もちろん、人によっては「特別扱いされたくない」という方もいるんですけれども、そういったことが目に見えることによって、お互いスムーズな関係になっていくかなと思います。


■杉山文野氏プロフィル
LGBTの人が暮らしやすい社会を目指す。もともと女性として生まれ、男性として生活するトランスジェンダーとしての自らの半生をつづった自叙伝を、2006年に発表した。日本初となる渋谷区の同性パートナーシップ証明書発行に携わったり、日本最大のLGBTイベントを手がけたりするなど、全ての人が垣根を越えて集える場所づくりに取り組んでいる。


【the SOCIAL opinionsより】