【解説】“千葉で震度5強”“鹿児島で震度5弱”全国で相次ぐ地震…関連は? 首都直下地震への影響とは―
5月8日から5月14日までの期間、国内で震度1以上の地震が98回ありました。このうち、震度3以上の地震が14回ありました。
▼9日午前5時14分頃に石川県珠洲市と能登町で震度4を観測する地震がありました。震源は能登地方でマグニチュードは4.7、震源の深さは15キロでした。
▼10日午前7時14分頃、珠洲市で震度4を観測する地震がありました。地震の震源は能登半島沖でマグニチュードは4.9、震源の深さは12キロでした。
▼11日午前4時16分頃、千葉県南部を震源とするマグニチュード5.2の地震があり、千葉県木更津市で震度5強の揺れとなりました。
▼11日午後6時52分頃、北海道日高地方東部を震源とする地震では、浦河町と幕別町で震度4を観測しています。マグニチュードは5.5、震源の深さは55キロでした。
▼13日午後4時10分頃、鹿児島県十島村の中之島で震度5弱の揺れとなる地震がありました。震源はトカラ列島近海でマグニチュードは5.1、震源の深さは12キロでした。
5日に震度6強を観測した石川県能登地方では、地震活動が続いています。また、鹿児島県のトカラ列島でも、この期間に震度1以上の地震が40回以上おきるなど地震活動が活発です。また、14日夕方からは八丈島近海を震源とする地震も相次いで発生しています。観測された最大震度は3ですが、海域で地震が発生しているため、今後、仮に大きな地震がおきると津波が発生するおそれがあるため注意が必要です。
■全国各地で地震頻発―関連は?
政府の地震調査委員会・平田直委員長によりますと、「たまたま地震が多かっただけ」で、関連性はないということです。2011年の東北地方太平洋沖地震の際には、大きな地殻変動が起きたため、全国で地震が頻発しました。しかし、ここ最近、全国で相次いでいる地震の規模は大きくないことから、地震が増えたり減ったりする“ゆらぎ”の範囲内だということです。
■千葉南部でM5.2の地震 木更津市で震度5強 君津市で震度5弱
11日午前4時16分ごろ、千葉県南部を震源とする地震が発生しました。震源の深さは40キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.2です。この地震で、千葉県木更津市で震度5強、君津市で5弱を観測したほか、東北地方から中部地方の広い範囲で震度4から1の揺れを観測しています。
1997年10月から今月13日までの期間に発生したマグニチュード2.5以上の地震を示した図では、海域と内陸でたくさんの地震が起きていることがわかります。2021年10月7日、千葉県北西部で発生したマグニチュード5.9の地震では、東京・足立区や埼玉県川口市などで震度5強の揺れを観測しました。このように、千葉県付近は、マグニチュード5クラスの地震が時々発生する場所です。
南関東の直下は、「陸のプレート(北米プレート)」、太平洋沖から沈み込む「太平洋プレート」、南から沈み込む「フィリピン海プレート」と、3つのプレートが重なった複雑な地下構造を持つ世界的にも珍しい場所です。プレートがぶつかり合い、ひずみがたまるため、地震がおきやすい場所です。11日の千葉県南部の地震は、フィリピン海プレートの内部で発生した地震です。また、2021年10月7日の地震は太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生しました。このほか、地殻内の浅い場所で起きる地震など、南関東のプレートで起きる地震のパターンは6つあるとされています。
首都直下地震について、国の想定では、マグニチュード7クラスの地震が、今後30年以内に発生する確率は70%程度とされています。
12日に開かれた政府の地震調査委員会では、今回の千葉県南部でのマグニチュード5.2の地震と首都直下地震の関連はないということです。その理由として、今回の地震の規模が、それほど大きくないことから、この地震が大地震の引き金となることはないとしています。
首都直下地震は、首都圏の真下で起きるマグニチュード7クラスの地震を指しています。南関東では、これまでもマグニチュード7クラスの地震が多く発生しています。今年で発生から100年となる関東大震災は、神奈川県西部を震源とするマグニチュード7.9と、7.3の大地震が連続して発生したものでした。
「相模トラフ」とは、関東南部の沖合にある、陸のプレートの下に、南からフィリピン海プレートが沈み込んでいる場所です。プレート境界が強く固着しているため、プレートの沈み込みに伴って、ひずみが蓄積されています。国の想定では、相模トラフ沿いでマグニチュード8クラスの地震が、30年以内に0%~6%の確率で発生すると考えられています。
関東地方では、強い揺れとなるような地震が度々起きるということを再確認して、地震への備えを進める必要があります。