南海トラフ沿いの地震 先月も目立った地震活動なく「特段の変化なし」
気象庁は、南海トラフで巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会を開き、先月は巨大地震に影響を与えるような目立った地震活動はなく、「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
気象庁は、今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、専門家による定例の評価検討会を開き、想定震源域で起きた地震や観測データの分析を行いました。
気象庁によりますと、先月1日から今月8日までの期間に、南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺ではマグニチュード3.5以上の地震が5回発生したということです。
先月4日には三重県南東沖を震源とするマグニチュード3.6の地震、5日と9日には愛知県西部を震源とするマグニチュード3.7の地震、20日には和歌山県南方沖を震源とするマグニチュード3.6の地震、24日には愛媛県南予を震源とするマグニチュード3.6の地震がありました。
このうち愛知県西部と愛媛県南予を震源とする地震についてはフィリピン海プレートの内部で起きた地震で、南海トラフ巨大地震で想定されるプレート境界のものとはメカニズムが異なるということです。また、これらの地震について検討会は、地震の規模が小さいことなどから「特に目立った地震活動ではない」と評価しました。
一方、静岡県御前崎などで長期的に観測されている地盤の沈降はフィリピン海プレートの沈みこみに伴うもので、その傾向に大きな変化はないとしています。
検討会は、こうした観測結果を総合的に判断し、南海トラフ周辺で「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、大きな地震が発生する可能性が高くなったことを示すデータは得られていないとしながらも、南海トラフで30年以内に巨大地震が起きる可能性はとても高いため、引き続き備えを進めてほしいと呼びかけています。