【解説】富士山 地震と火山活動の関係噴火の可能性は――過去には巨大地震後に大噴火も
3月27から4月2日までの期間、国内で震度1以上の地震は35回発生しました。このうち、北海道や東北地方などで震度4の地震が2回ありました。
▼3月27日、午前0時04分頃、宮城県東松島市などで震度4を観測する地震がありました。震源は宮城県沖でマグニチュード5.3、震源の深さ60キロでした。
▼3月28日、青森県東方沖を震源とする地震はマグニチュード6.2でした。北海道、青森県及び岩手県で震度4を観測したほか、北海道、東北地方や関東地方で震度3~1を観測しました。
▼先月29日、午前3時48分頃、石川県珠洲市で震度3の地震がありました。震源は石川県能登地方、マグニチュード4.1で、震源の深さは13キロ。また、同じ日の午後0時2分頃と午後5時39分頃にも珠洲市で震度3の揺れを観測する地震がおきるなど、この期間、震度3が3回、震度1の地震が7回発生しています。この付近では、2020年12月から地震活動が活発になっています。
▼31日午後7時54分頃、父島近海を震源とする地震が発生しました。マグニチュードは不明、震源の深さ73キロで東京都小笠原村で震度3を観測しました。
▼今月1日、午後6時41分頃、新潟県佐渡市や村上市、山形県西川町などで震度3を観測する地震がありました。震源は新潟県の下越沖でマグニチュードは4.9、震源の深さは28キロです。
富士山は活火山でありながらも、300年以上噴火がありません。専門家らは「いつかは必ず噴火する」と考えています。静岡・山梨・神奈川の3県などで作る協議会が先月末、富士山噴火に備えた新しい避難計画をまとめました。
避難計画の「今後の検討事項」には「巨大地震後に富士山が噴火するケースなどの『連続災害』を想定した避難計画の検討を行う」という記述があります。
有史以降で注目すべき噴火はふたつ。ひとつは864年から866年にかけて発生した「貞観噴火」。大量の溶岩が流れ、埋め尽くされた山の麓が広大な樹海となって現在の青木ヶ原樹海となりました。
もうひとつは1707年12月16日に発生した「宝永噴火」です。富士山の南東の山腹で噴火し、16日間にわたって爆発的噴火が続き大きな被害となりました。また、当時の江戸の町にも多量の火山灰が降り積もりました。
実はこの宝永噴火がおきる前、1707年10月28日には南海トラフを震源とするマグニチュード8.6の巨大地震が発生していました。そしてその49日後に宝永大噴火があったのです。宝永地震に誘発されたことで、富士山噴火が発生したと言われています。
富士山周辺の地震活動を2011年の東日本大震災の前後で比較しました。1999年3月~2011年2月までの12年間には富士山からやや離れた場所で多くの地震が発生していますが、2011年3月以降は富士山に近いところを震源とする地震もたくさん発生しています。
気象庁は、東日本大震災をおこした超巨大地震によって大きな地殻変動が起き、その影響で富士山付近でも地震が多発した可能性は否定できないと分析しています。
深部低周波地震は、深さ10キロから20キロあたりで発生する地震です。地下深部のマグマ活動と関連していると考えられています。2000年10月から12月、2001年4月から5月にこの地震が多く発生しました。普段は毎月数十回程度の地震が、この期間は月に100回以上も観測されたため、噴火の予兆なのではないかと心配されました。
専門家によると、当時、深部低周波地震が多くなったものの、マグマの上昇を示すような観測事実はなかったということです。深部低周波地震は普段から起きていますが、火山現象に大きな変化がないか24時間監視が続けられています。
富士山では過去5600年間で180回噴火が発生しています。平均で30年に1回噴火していることになりますが、最後の噴火は1707年におきた宝永噴火。以来、富士山では300年以上噴火が発生していません。
このため富士山は、いつ噴火してもおかしくない状況だと言われていて、静かな状態が続いていることこそ異常だと考えるべきだということです。
噴火に伴って発生する災害は噴石、火砕流、溶岩流、火山灰、火山ガスなど多様です。特に噴石、火砕流は、避難までの時間的猶予がほとんどなく、事前の避難に対する知識などの準備が必要です。
一方、火山灰は遠く離れた東京都内の交通機関やライフライン等にも影響を与えます。また、噴火災害による影響は長期間にわたるということも知っておく必要があります。