富士山噴火で新避難計画――溶岩流からの避難は「原則徒歩」に 新宿で「火山灰10センチ」予測も…“首都マヒ”への備えは?
富士山が噴火した場合の新たな避難計画が発表されました。3時間以内に溶岩流が到達するエリアの避難対象者は7倍に増加。3時間以内~24時間以内に到達する地域の住民の避難は、高齢者らを除き原則徒歩となりました。首都圏への影響や備えを考えます。
■避難対象者は7倍の約11万人に
有働由美子キャスター
「富士山が噴火した場合のシミュレーションでは、ドロドロに溶けた1000℃の溶岩が市街地をのみ込み、火山灰が降り積もって大規模な停電も発生します。どうやって逃げたらいいのか、新たな避難計画が発表されました」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「2021年に17年ぶりに改定されたハザードマップによると、溶岩流の到達は噴火から2時間で市街地にまで及んでいます。そのエリアも広がり、神奈川・小田原市にまで到達する可能性が出てきました」
「3時間以内に溶岩流などが到達するエリアの避難対象者は、約1万6000人から約11万6000人と、7倍に増えました」
■避難は車ではなく「原則徒歩」に
有働キャスター
「これだけの人が一斉に避難するとなると、混乱も起こりそうですね」
小栗委員
「これまでは車での避難を想定していましたが、渋滞が発生して逃げ遅れが出る恐れがあるということで、新たな計画では3時間~24時間以内に溶岩流が到達する地域の住民は、高齢者を除いて原則徒歩で避難となりました」
有働キャスター
「『溶岩流から徒歩で逃げられるの?』と思う方もいらっしゃるのでは…」
小栗委員
「山梨県富士山科学研究所の吉本充宏主幹研究員によると、溶岩流のスピードは人が歩くよりも遅いので、流れる方向とは別の方向に数百メートルほど避難すれば、命の危険はなくなるということです」
■首都圏に火山灰が飛来する可能性も
有働キャスター
「先ほどのシミュレーションでは、火山灰が相当広い範囲に降り積もるということでした」
小栗委員
「風向きによっては首都圏にも火山灰が飛んできて、新宿でも10センチ積もるという予測データもあります。火山灰が10センチ以上積もると車が動かなくなるという実験結果もあります」
「また山梨県富士山科学研究所の久保智弘研究員によると、電車や飛行機など交通網がマヒする可能性があるほか、停電や断水なども予想されています。首都圏では灰を除去する機械などの準備はまだされていないのが現状です」
■1週間以上の備蓄と避難先の検討を
有働キャスター
「長引くと大変な影響が出ます」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「今日、ちょうど備蓄の食料が届いたばかりでした。地震は経験も知識もある程度ありますが、噴火は分からないからこそ恐ろしさがあると思います。改めて実際に起こり得るリスクを理解した上で、適切な恐怖心を持って備えていたいです」
有働キャスター
「では今すぐに私たちに何ができるか。政府のワーキンググループは1週間、可能ならそれ以上の備蓄と、あらかじめ避難先を検討することを呼びかけています。これは地震や水害の対策にもなりますので、ぜひ今のうちに命を守る備えを考えてください」
(3月29日『news zero』より)