【まとめ】もし海外にいるときに地震にあったら… 忘れずに備えておきたいこと
2月6日未明にトルコ南部で相次いで発生したマグニチュード7を超える地震。トルコとシリアで4万人以上が亡くなり(15日現在)、今も救助活動が続いています。もし海外にいるときに地震にあったらどのように行動すれば良いのでしょうか?わたしたちが備えておくべきポイントをまとめました。
「たびレジ」は、3か月未満の海外旅行や海外出張をする人向けに外務省が行っている海外安全情報メール配信サービスです。渡航先や日程、宿泊先などを登録しておくことで、メールやLINEで現地の安全情報や注意喚起が届き、被災した時にも必要な支援をスムーズに受け取ることができます。
旅行会社のツアーで渡航する場合は、観光庁が旅行会社と提携したサービス「ツアーセーフティーネット」へ事前に登録すると、安全情報に加え、緊急時には安否情報を複数の人へ同時に送ることができます。
そのほかにも
・パスポート番号や航空券番号を日本にいる家族や友人、パートナーなどへ伝えておく
・緊急連絡先や現地の大使館の連絡先を紙に書いて携帯する
・渡航先の地域の災害傾向や治安、宿泊先近くの医療機関の場所や行き方を調べておく
・翻訳アプリをオフラインでも使えるようにしておく
などといった準備は渡航前にもできる備えです。
現地では宿泊先やオフィスの避難経路を確認することに加え、緊急事態にどう行動するのかを家族や会社の人など、身の回りの人と話し合っておきましょう。
「私はまず現地に着いたら、避難経路を必ず確認しています。宿泊場所の非常口など、通常の避難経路のほかに、もし窓から避難するときにはどんなルートで逃げられるかといったことも一緒にシミュレーションしておいた方がいいと思います(国際協力NGO「ピースウィンズ・ジャパン」橋本さん)」
また、建物の材質や耐震性によって地震が起きたときにとるべき行動も変わります。
「日本では地震の際、揺れが収まるまで机の下などに隠れ、建物の中で待機してくださいと教えられますが、海外では建物ごと倒壊する危険性がかなりあります。地震が起こったときの対応は地域ごとに違うので、地元の人など詳しい人に確認してみてください(日本赤十字社・斎藤さん)」
災害時に貴重品などをすぐに持ち出せるよう、海外滞在中には「緊急持ち出しバッグ(グラブバッグ)」を作っておきましょう。日本の「非常持ち出し袋」とは違い、小さくて軽量であること、パスポートや予防接種記録手帳といった貴重品が含まれていることが特徴です。
国際赤十字・赤新月社連盟のStay Safe公式サイトによると「緊急持ち出しバッグ」の基本的な中身は、一日分の水や食料、上着、救急セット、常備薬、眼鏡やコンタクトレンズ、帽子や日焼け止めなど。
日本赤十字社の斎藤さんによると、渡航先に合わせ「必要最低限」のものを入れておくことが大切とのことです。バッグは「貴重品が入っていなそうな見た目」のものにすると盗難を避けやすくなります。
そのほかの準備例としては
・スマートフォンなどの通信機器
・モバイルバッテリーやケーブル
・パスポートなどの貴重品
・ライト
・緊急連絡先
・現金
・ナイフや爪切り
・現地に対応したラジオや延長コード
・家族写真など、身につけると安心するグッズ
・使い捨て下着
・生理用品
など。子供がいる場合はお気に入りのぬいぐるみやおもちゃなど、心を落ち着けられるグッズを持って行くことも大切です。
地震が起きた時やその直後は建物の倒壊やがれきなどに気をつけ、まず身の安全の確保を最優先にしてください。身の安全が確保できたうえで、安否確認や情報収集などを行います。
◆安否確認◆
大使館や領事館、家族や友人などに安否を伝える連絡をとります。大使館などの連絡先がわからないときは、連絡の取れる知人やSNSなどで安否の報告をしてください。もし電話回線やインターネット接続がなく、ほかに通信手段がない場合は焦らずに復旧を待ってください。
「通信手段が限られている場合も多いのですが、安否確認をするときは、自分がどこでどんな状態なのかを伝えてください。ツイッターでつぶやくだけでも、周りの人に安否を伝えることができます(国際協力NGO「ピースウィンズ・ジャパン」橋本さん)」
◆適切なソースから情報を得る◆
デマやうわさなどに注意し、適切なソースから情報を得ることも大切です。SNSなどで急速に拡散されている情報など、自分で真偽を確かめられない情報には気をつけて、現地で信頼できる人やニュースソースを見つけておくことも重要です。また、発災後はデマも含めた様々な情報が飛び交います。情報過多によって心身に負担をかけることがあるため、意識的に情報から離れることも大切です。
◆治安の悪い場所は避ける◆
都会など人の多い場所は、被災後、警察や消防などの対応が追いつかず、治安の維持が難しくなることも多々あります。騒がしい広場などは避け、身の安全を第一に行動してください。
◆被災現場の写真を撮っておく◆
現地で暮らしている場合、被災証明や保険などを適用する際に証拠となる写真の提出が必要になることもあります。
「地震や津波の被害の写真を撮っておいたことで、家の被害証明を出すときに役立ちました。被害の証拠になるので、何枚も撮影しておくことをおすすめします(2020年の「エーゲ海地震」で被災した、こおだききさん)」
自然災害に対し「こうすれば絶対安全」「必ず助かる」という備えや行動はありません。だからこそ、海外にいたとしてもできる限りの備えをし、緊急時のシミュレーションをしておくことが大切です。
<取材協力>
・自然災害や紛争下で活動するスタッフの派遣・育成・安全管理を統括する「日本赤十字社」事業局・国際部参事の斎藤之弥さん
・災害現場で救助や医療支援を行う「ピースウィンズ・ジャパン」国内事業部次長の橋本笙子さん
・2020年にギリシャで起きた「エーゲ海地震」で被災した経験を持つ、こおだききさん