【解説】九州最大の都市、福岡・博多を通るSランク活断層「警固断層帯」とは――2005年にはマグニチュード7の大地震も 警固断層帯で想定される被害は?
4月3日から9日までの期間、国内では震度1以上の地震は、37回発生しました。
▼4月4日、午後4時7分ごろ、東京都小笠原村で震度3の地震がありました。震源は父島近海、地震の規模を示すマグニチュードは5.1、震源の深さは76キロでした。
▼4月5日、午前8時33分ごろ、鹿児島県十島村で震度3の地震がありました。震源はトカラ列島近海でマグニチュードは3.0、震源の深さは10キロでした。
▼4月7日、午後1時46分ごろ熊本県八代市で震度3の地震がありました。震源は熊本地方でマグニチュードは3.8、震源の深さは9キロでした。
日本周辺ではプレートがぶつかりあっているため、陸地の地下にある岩盤に「ひずみ」がたまります、この「ひずみ」が限界を超えると、岩盤の弱い部分が壊れて地震がおきます。「過去数十万年前以降に繰り返し地震をおこして将来も地震をおこすと考えられている断層」が活断層です。
国内には、少なくとも2000の活断層があるとされています。日本海溝や南海トラフでおきるプレート境界型の地震と異なり、発生間隔が数千年間隔と非常に長いという特徴もあります。
政府の地震調査委員会は、活断層の長さが20キロを超えるもの、マグニチュード7以上の大地震をおこす可能性があるものを「主要活断層」として公表しています。「主要活断層」は114あり、将来の地震発生確率も公表しています。「主要活断層」は、発生確率の高い順に4つのランクに分類されています。
30年以内に地震がおきる確率が3%以上の最もリスクの高いものを「Sランク」、0.1から3%未満のものを「Aランク」としています。
警固断層帯は、玄界灘から博多湾、さらに福岡市内を通って、福岡平野にかけて、北西方向から南東方向に伸びる活断層です。博多湾のあたりを境に、北西部と南東部の2つのエリアに分かれています。活断層の長さは全部で55キロあります。この南東部では、今後30年以内の地震の発生確率は0.3から6%という高い部類に入っています。
北西部のエリアでは2005年3月20日、福岡県西方沖地震がおきていて、福岡市中央区や佐賀県みやき町などで震度6弱を観測しました。この地震の震源は福岡県西方沖の玄界灘でマグニチュードは7.0、震源の深さは、9キロという地震でした。
このように北西部のエリアでは、2005年に大きな地震がおきていますが、南東部のエリアでは、約8000年前と約4000年前に地震の活動履歴があったとされています。
断層帯の北西部で地震活動を示す灰色のマークが密集しています。これは2005年の福岡県西方沖地震と、その余震活動にともなうものです。最近の地震活動は少なく、比較的静かな状況が続いています。
政府の地震調査委員会は、警固断層帯の南東部で地震がおきた場合、地震の規模はマグニチュード7.2と想定しています。福岡市中心部では震度6強の激しい揺れになるとみられています。
福岡県の想定では、死者は1000人以上、都市部直下にある活断層で地震がおきれば、大きな被害になる可能性が非常に高いとされています。
地震の専門家・環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは――
「活断層は、日本全国で約2000あるとも言われていますが、全ての活断層が見つかっているいる訳ではありません。活断層が見つかっていない場所でも強い地震はおきていますので、活断層が見つかっていない場所でも強い地震に対する備えはしてほしい」