働き方改革 経営者と若手で意識にギャップ
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「働き方改革 経営者と若手で意識にギャップ」。「ONE JAPAN」代表の濱松誠氏に聞いた。
経済同友会とONE JAPANが8月に行った働き方に関する共同意識調査によると、「働き方改革において、最も重要だと思う施策は?」の1位は経営者、若手・中堅ともに「組織風土改革・意識改革」だった。しかし、その施策が推進されている実感を尋ねたところ、「実感がある」経営者は88.7%なのに対し、若手・中堅は49.4%だった。
ネット上では「優秀な人材を確保するために必要」「時短ハラスメントになっていることも」「幸福度をあげたい従業員、生産性をあげたい経営層」などの意見が聞かれた。
――こうしたギャップをどう考えますか、フリップをお願いします。
「経営者の覚悟と…」というのを書いたんですが、これはやっぱり企業変革、今回の働き方改革を含め、まずは経営者がなぜ働き方改革をやらねばならないのか、というのをしっかりと自分の言葉で言う、そして社員・従業員が腹落ちをすることがまず大事なんじゃないかと考えます。
例えば、私がいるパナソニックでは日本マイクロソフトの社長・会長をやった樋口という人間が、今、社内の、カンパニーの社長になっているんですが、彼がいわゆる働き方改革を本当にトップ自ら率先垂範で実践しているのを見て、やはりトップの覚悟、経営者の率先垂範の姿勢がもっとも重要なんじゃないかなと思いました。
――一方でそんな素晴らしい上司ばかりだとは限らないですよね。若手の方はどうしたらいいんでしょうか。
そこでフリップに「経営者の覚悟と…」と書いたのは、まずはトップ自ら率先垂範して、カルチャーを変えていくという動きをしていくことは大事なんですが、とはいえ社員一人ひとりが、自分は何ができるのか、自分はどうしたら生産性を高められるのか、どういうスキルセットが足りないのか、というのを一人ひとりが「自分ごと化」して、自らの足りないところを補って、そのために誰かを巻き込んでいく。それから、最近、こんな仕事やらなくていいんじゃないのという仕事があると思うんですが、そういったこともやらないことはやらない、やることはしっかり早くやるということを意識することが必要なんじゃないかと思います。
――何でもかんでもたくさん働けば、時間も量も含めて良いというわけではないと。
そうですね、だからこそ経営者が率先垂範して、中間管理職、ミドル層を含めて、これはやらなくていいと、無駄なことはやらずにお客様のことだけを考えてやるということをやる、それから社員とトップ層がしっかり対話をして、何のためにやるのか、無駄なことはないか、必要なことだけをやろう、これをしっかりなぜやるのかを、全員が腹落ちをして、共有するということが大事なんじゃないかと思います。
――こういう働き方改革ひとつとっても今本当にいろいろなことが過渡期を迎えているじゃないですか。変わる時っていろいろパワーもいりますけど、そこはひとつ踏ん張り時というか、若手もトップもみんな頑張らないといけないんですかね。
はい、これは例えば半年やったから、1年やったから、2年やったから、そんな簡単にこの日本のずっと長年やってきたこの慣習はやはり変わりません。なのでしっかり、本当に地道に、ひとつずつではあるものの、先ほど申し上げた経営者の覚悟と率先垂範と、社員一人ひとりが意識改革をすることで、じわりじわりと少しずつですが変わっていくんじゃないかと。そこはある種、我慢というか、過渡期なので、しっかり地道にやっていくということが大事なんじゃないかと思います。
■濱松誠氏(35)プロフィル
ONE JAPAN代表。2006年にパナソニックに入社し、海外営業や人材戦略などの業務に取り組む一方、2012年に若手主体の有志団体を会社内に立ち上げ、組織の活性化や社外交流に取り組んだ。さらに、企業の壁を越えた大企業の有志団体「ONE JAPAN」を立ち上げ、社会をより良くするための活動を行っている。
【the SOCIAL opinionsより】