“ハトのエサやり”やめて 相次ぐ苦情に異例措置 自治体が本格的対策に
ハトへのエサやりが原因でフンなどに対する苦情が相次いでいるとして、自治体が対策に乗り出しています。大阪市ではエサやりの中止を命じる行政処分を出すという、異例の措置に踏み切りました。
“平和の象徴”ともいわれるハト。しかし、時には“やっかいもの”になるのも事実。大量のハトが同じ場所に居座る理由の1つは、エサをやる人がいることです。
記者(神奈川・川崎市 25日)
「すごくハトが懐(なつ)いてますね」
そんなエサやりをめぐって、いま自治体が本格的な対策に乗り出しています。
大阪市のJR我孫子町駅周辺で、10年以上前から続いている一部の住民によるハトなどへのエサやり。フンの悪臭や鳴き声などによる騒音などの苦情も相次いでいます。
そこで大阪市は17日、特定の人物に対し動物愛護法に基づくエサやりの“中止命令”を出しました。違反した場合は50万円以下の罰金が科される可能性があります。市が指導や勧告を繰り返してきたものの、改善が見られなかったことで踏み切ったという“異例の措置”です。
中止命令が出されて約1週間。25日に現場に行ってみると…
記者(大阪市・JR我孫子町駅前)
「ハトの姿がありませんね」
駅前にいたハトは、すっかりいなくなっていました。
近隣住民
「前みたいには、いない。とまっていない。ハトは減ったかな」
近隣住民
「最近見ない。数が多いのはちょっといい感じしない。不衛生みたいな」
さっそく改善されたようにも見えます。しかし、少し歩いてみると…
記者
「めっちゃいる、ハト」
以前、ハトが多くいた駅から約500メートル離れた場所に、ハトの大群。さらに…
記者
「エサまいてますね。めっちゃハトが寄ってきた」
エサやりをしている男性がいました。
――エサやりの理由は?
「いや、ない」
――“エサをあげないでください”というのを知っていましたか?
「…」
場所が変わっていくだけで、なくならないエサやり。ハトは、エサがなくなると去って行きました。
エサやりに頭を悩ませている場所は、都内にもあります。
駅近くのビルの管理人(東京・杉並区、高円寺駅前 25日)
「うちのビルもハトが多いから、ハトのフンが大変。ハトには申し訳ないけど、本当に迷惑」
杉並区はエサやりを禁止する条例はないものの、近隣住民からの「公道が汚れる」「洗濯物にフンがつく」などの苦情を受け、先週、張り紙などを設置しました。
偶然出会った、40年間ハトのエサやりを続けていたという女性に話を聞くと…
エサやりする女性
「かわいそうでね、なんとなく。そしたら近所の人に言われちゃって。エサやったらだめだよ、僕たちが困るんだよと。申し訳なかったと思った。ハトの被害を考えてもみなかった」
制限をかけることで、しっかりと効果が出た場所もあります。東京・大田区では「ハトなどへのエサやりを禁止する」条例が施行されています。
大森駅前で話を聞くと…
「犬猫のエサを袋ごと持ってきて、1袋くらいまいていた。その人がもう、来なくなったから」
実は、その場所では2022年までは大量のハトにエサをやる人の姿がありました。条例の施行から約2年。ハトの数は…
「(ハトの数は)少なくなったなというイメージはありますね」
「いない方がいいと思います。かわいそうだけどね」
◇
環境省によると、野生のハトが主に食べるものは木の実や草の実など。人がエサを与えなくても、自然な食べ物を口にして生きていけるということです。環境省は、ハトが自力で生きていくためにも「エサを与えないで」と呼びかけています。