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人を飲み込む?──25自治体が“ブラックホール型”ナゼ 増田氏「働き方改善が重要」 744自治体「消滅可能性」…対策は?

2024年4月25日 10:14
人を飲み込む?──25自治体が“ブラックホール型”ナゼ 増田氏「働き方改善が重要」 744自治体「消滅可能性」…対策は?

民間の有識者グループ「人口戦略会議」は24日、人口減少によって将来、全国で744の自治体が消滅する可能性があると公表しました。一方で、東京・墨田区などは人を飲み込むような「ブラックホール型」の自治体と分類されました。課題や対策を考えます。

■東京は16区が「ブラックホール型」

藤井貴彦キャスター
「人口が1億人を超える日本。人口戦略会議によると全体の4割にあたる744もの自治体が将来的に消滅の可能性があり、ブラックホール型という言葉も出てきました」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「宇宙で周りの物質を引き寄せて飲み込んでしまうブラックホールのように、人を飲みこんでしまうのが、ブラックホール型に分類された自治体です」

藤井キャスター
「自治体が人を飲み込むというのは、どういうことなのでしょうか?」

小栗委員長
「全国で25の自治体がこれに分類されましたが、ほとんどが、地方からの移住者が多い都市部です。東京23区では新宿区や渋谷区、世田谷区など16の区が当てはまるとされました」

■出生率が低く、長期的には人口減に

小栗委員長
「これらの自治体は出生率が非常に低いというのも特徴です。本当にブラックホールのように、地方から人を飲み込んではいるけれども、子どもたちが増えないため、長い目で見ると人が消えていく状態です」

「この状態が続くと、全国的にも人口は減少し続けていくということです。今回これに分類された墨田区の担当者は『驚いている。ご指摘を受け止めた上で、これからの課題を考えないといけない』と話していました」

「人口戦略会議の増田寛也副議長は『男性の育児や家事の参加が非常に低いと、子どもが2人以上の世帯にはつながらない』として、働き方の改善などが重要だと強調しました」

■239自治体が脱却も…楽観できぬワケ

藤井キャスター
「地方から多く人が集まってくれば問題ないのかなと思いましたが、そこでも課題はあるのですね。一方で、今回239の自治体が消滅可能性自治体から脱却したと公表されましたが、何が影響したのでしょうか?」

小栗委員長
「外国からの入国者が増えたことがあり、子どもが増えたわけではない地域も多いため、楽観できる状況ではないということです。ただ、子育て支援にしっかり取り組んで改善したところもあります」

「例えば島根・吉賀町では10年前に『消滅可能性あり』とされましたが、保育料や高校生までの医療費、小中学校の給食費をすべて無料にしました。さらに小中学校に入学する家庭には1万円分の制服・体操服のクーポン券を配布したそうです」

「こうしたことで出生率は1.69から1.83に上がり、消滅可能性自治体から今回脱却できたといいます」

■専門家「問題を理解して魅力向上を」

藤井キャスター
「自治体の具体的な支援が良い影響を与えているという例ですね」

小栗委員長
「人口戦略会議メンバーである明治大学の金子隆一特任教授は『各自治体が人口が流出していることが問題なのか、子どもが増えないことが問題なのか理解して、その地域に合った対策や工夫をして魅力を高めることが大切だ』と話しています」

■板垣さんに聞く…人口減への向き合い方

板垣李光人さん(俳優・『news zero』水曜パートナー)
「人口も減って日本はどうなってしまうのか、将来に正直不安は感じています。今この瞬間も物価高や円安もあり、漠然とした不安はとても感じています」

「ただ、人口減少の対策だけではなく、例えばアニメなど日本の強みとなる産業を底上げして日本の武器を磨き、存在感を高めていくようなことも同時に進めていってほしいなと思います」

藤井キャスター
「特徴的なまちづくりが必要になるかもしれませんね。人口戦略会議は、このまま対策をしなければ、76年後の2100年には人口は6300万人になってしまうと提言していました。これは今の人口の半分です」

「ただ、それぞれが必要なことをすることで、8000万人で食い止めることも可能だとしています。それでも8000万人。私たちはその頃生きていないかもしれませんが、今を生きる私たちの行動が、未来の人たちの生活のカギを握っているとも言えそうです」

(4月24日『news zero』より)