【若者のメンタル】新生活×春バテで疲れた心「五感を活用」でパワー回復

新学期や新生活で溜まった心の疲れが出やすいこの季節。10代~20代前半の若者は、子どもから大人へと成長していく過程で心の不安を感じやすいため、いっそう注意が必要です。いつもより心のパワーが弱まっていると感じたら、どうすればいいのでしょうか。
東洋大学の学生相談員として約20年間、学生のメンタルケアに取り組んできた臨床心理士の、鳥井いおり相談員に話をききました。
■「作られた自分」から「本来の自分」へ 成長過程で心のパワーが不足しやすい「青年期」
今年の4月は、新生活の緊張感に加え、寒暖差の影響で自律神経が乱れ倦怠感などの症状が現れる「春バテ」の影響を受ける人も少なくありませんでした。5月を迎えた今、例年以上に心の疲れがたまっているかもしれません。
とくに、10代~20代前半ごろは、それまで周囲の大人の影響を受けながら作られてきた自分から、「本来の自分」「新しい自分」へと変わっていくときです。このような時期は心理学では「青年期」と呼ばれ、心のパワーを消耗しやすいとされています。
そのため、良好なメンタルヘルスを保つことは、「本来の自分」「新しい自分」に変わるための大きな力となります。
臨床心理士・鳥井いおり相談員
「周囲の人と自分を比較して『うまくいかない』『やる気が出ない』など悩むことや、『自分はどのような人か?』『今のままの生活でいいのだろうか?』など、自己への戸惑いや漠然とした不安を感じることも、けっして特別なことではありません」
そんな青年期の悩みや不安と向き合い、カウンセリングやグループ活動を通じてメンタルケアをしてきた鳥井相談員。
「イライラしたり、落ち込んだり、無気力になることも、自分の感覚の一部」と話し、ネガティブなものとして無理に取り除くのではなく、一度受け入れてみることを促しています。
臨床心理士・鳥井いおり相談員
「自分自身の感覚の一部として受け入れてあげましょう。いつもと違う自分の状態や気持ちは、何らかのサインであり、内側の声に気づくことが大切です」
自分の心が出している「声」をしっかり聞くことで、自分のことをより深く理解することができ、“心のパワー不足”であれば、休むとか相談機関に行くなどのアクションに繋がるということです。