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想像を絶する怖さ……遊泳中に「離岸流」に巻き込まれたら? 人工の岬にも注意 浮き具“漂流”を検証【#みんなのギモン】

2024年8月14日 10:19
想像を絶する怖さ……遊泳中に「離岸流」に巻き込まれたら? 人工の岬にも注意 浮き具“漂流”を検証【#みんなのギモン】
海や川での水難事故が全国で相次いでいます。10~12日の3連休では、助けようとして事故に遭ったケースが多くありました。沖へと向かう強い潮の流れである「離岸流」が発生しやすい場所やその対処法、浮き具で流される危険性などについて考えます。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「水難事故相次ぐ…注意点は?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●「救助」で死亡 検証で見えた危険
●浮き輪で漂流? 知っておくべき対策

■石川・内灘海岸で2人が流される事故

近野宏明・日本テレビ解説委員
「子どもたちはもう少し夏休み、大人の皆さんはお盆休みという方も多いと思いますが、悲しいことに海や川での事故が相次いでいます」

「水難事故は13日も起きています。午前11時前、石川・内灘町の内灘海岸で泳いでいた20代の男性2人が流されましたが、近くにいたサーファーなどによって救助されました」

■3連休、海での死亡事故が相次ぐ

近野解説委員
「12日までの3連休には死亡事故も相次いでいます。10日、新潟・村上市の海水浴場では、家族で来ていた7歳の男の子が、トイレに向かった母親と妹を追いかけた後、姿が見えなくなりました。その後、海底から発見され、死亡が確認されました」

「every.が調べたところ、この他にもお子さんが亡くなる事故を含めて全国で少なくとも15人が死亡または行方不明となっています。そのうちの半分以上が、海での事故だったそうです」

森圭介アナウンサー
「毎年この時期になると水の事故についてお伝えしなくてはいけないのは心苦しいのですが、とにかく『自分は大丈夫だろう』ではなくて自分ごととして、注意をしていただきたいです」

■“助けようとした”海での事故

近野解説委員
「3連休に起きた海の事故では、助けようとして事故に遭ってしまったケースが多くありました。11日は茨城・鉾田市のヘッドランドと呼ばれる人工の岬で溺れた子ども2人を助けようとした父親(55)が行方不明になってしまいました」

「北海道・木古内町では11日、家族で波打ち際を歩いている時に波に流された子どもを助けようとした母親(40代)が亡くなっています。泳いでいなくても波の危険は実際にあります」

「12日には新潟・上越市で、波の高い中で泳いでいた家族のうち1人を助けようとした70代の管理員が亡くなりました」

市來玲奈アナウンサー
「目の前で溺れた方がいて、助けたい一心での行動だったと思うんですけれども、改めてこういうニュースを見るとすごくつらいですし、助けるということが危険につながる可能性があるということは確認しておきたいです」

近野解説委員
「海上保安庁によると、助けるというのはなかなかリスクの高いことなので、自分は水の中には入らない、その代わり空のペットボトルなど浮力のある物を投げ入れるなどして、急いで通報してください、と呼びかけています」

「今回起きた事故でもう1つ注目したいのは、ヘッドランドと呼ばれる人工の岬です。海岸線の浸食を防ぐために造られたものですが、離岸流が発生しやすく危険です」

■専門家とともに離岸流の危険性を検証

近野解説委員
「専門家とともに、離岸流がどれだけ怖いのか検証した映像があります。波打ち際からあまり離れていない浅瀬で着色剤を流し、流れを可視化しました(許可を得て撮影・着色剤は環境に問題ないものを使用)」

「その映像によると、離岸流が発生している場所では立っていても引き込まれるほどでした。沖へ向かう強い流れが確認できます。着色剤が沖へ沖へと流れていきました」

「この離岸流は海岸線のどこでも起きる可能性があり、沖に向かって数十メートルから数百メートルに及ぶ可能性があるそうです」

山崎誠アナウンサー
「数十メートルから数百メートルという距離もそうですし、ただでさえ静かなプールではなくて波のある海ですから、流された時の動揺や怖さというのはありますよね」

■もしも離岸流に巻き込まれたら?

近野解説委員
「その怖さは想像を絶するものがあります。海上保安庁によると、離岸流の速さは毎秒2メートルに達する場合があるそうです。これはオリンピックの自由形金メダリストが泳ぐ速さとほぼ同じだそうです。そんな流れに逆らって泳ごうというのは無理です」

「重要なのは、流れに逆らって泳ごうとしないことです。岸と平行に泳いでください。離岸流は幅10~30メートルほどだそうで、この幅を横に抜け出してしまえば沖には流されなくなるので、その後、岸に向かって泳ぐということです」

「ただ、岸がどちらなのか分からなくなってしまうこともあると思うので、とにかく慌てないことが第一で、泳ぎに自信がなければ浮いて救助を待つということです」

森アナウンサー
「私も子どもが浮き輪で遊んでいた時に、一緒にいて離岸流で離されてしまったことがありました。大きい声で助けを呼んで助けていただきましたが、パニックになってしまい、自分の力では全く戻れませんでしたね」

近野解説委員
「慌てるとなおさら“傷口”が広がる可能性もあります」

■続々と台風が発生…高い波に注意

近野解説委員
「離岸流だけではなく、今は台風も気をつけなければいけません。東北を直撃した台風5号は13日未明に熱帯低気圧に変わりましたが、北海道や青森ではまだ波の高い状態が続くので、海のレジャーは注意が必要です」

「13日朝には台風7号も発生し、お盆休みの後半に関東を直撃する恐れも出ています。15日には伊豆諸島で大しけ、関東でも波が高くなる予想ですし、16日には東海から東北にかけての太平洋側で警報級の高波の可能性もあるので、天気予報を必ず確認してください」

市來アナウンサー
「チェックしている方は多いとは思いますが、できる方は予定をずらすというのも大切なことですし、今回お伝えしたことを頭に入れておいて、家族でしっかり話し合う、共有するということも大切ですね」

■風で浮き具が流される危険性を検証

近野解説委員
「海に行くと浮き輪やフロートなどの浮き具を使うと思いますが、浮かんでいられるので安心できるのかなという一方で、流される事故も実際に起きています。専門家や、安全を確保するためのダイバーを配置し、陸から海への風が吹いている状況で検証しました」

「浮き輪に乗って目印から手を放すと、5分後にはかなり流されました。上空から見ると、約8分半で30メートル以上流されました。専門家は『水面よりも上にあるものは風を受けやすく、流される』と説明した上で、別の危険も指摘しています」

「水難学会の斎藤理事によると、浮き輪で流されている時に、自分自身から見える景色はさほど変わらないので、自分が流されていることに気づくのが遅れ、事故につながる可能性もあるそうです」

■浮き輪とフロートの違いは?

近野解説委員
「さらに、いろいろな形があるフロートは浮き輪よりも早く、3分ほどで30メートル以上流されました。なぜ早いのでしょうか?」

「浮き輪は水の中に入っている体の部分が抵抗になって流されづらくなるそうですが、フロートに乗ると、体もフロートも、『風の帆』のようになってしまい、より流されやすいということです」

刈川くるみキャスター
「フロートはかわいらしいデザインが多いので、好きな子どもたちも多いと思います」

「短時間でこれだけ流されると、陸で見ている親御さんも『さっきまでそこにいたのに』とびっくりしてしまい、助けに行くとまたみんなの命が危険になるので、浮き輪の選び方と遊び方に気をつけないといけないですね」

■水遊びの注意点…フラッグの色を確認

近野解説委員
「一瞬のゆるみがとり返しのつかないことになる恐れがあります」

「注意点はたくさんありますが、政府などのホームページからいくつか絞って改めての確認です。例えば、監視員やライフセーバーがいる海水浴場を選んでください。そして海水浴場で使われるフラッグ(旗)の意味を知っておいてください」

「青は安全に遊べる『遊泳可』。黄色は『遊泳注意』で、足がつく範囲で遊びましょうというものです。赤は『遊泳禁止』。赤と白の格子模様はとても重要で、津波が来るというような危険を知らせるフラッグです」

「特に今は南海トラフ地震の臨時情報が出ていますが、海にいるとそもそも地震が来たことに気づかない場合もありますし、呼びかけの声も拡散してしまって聞き取れないかもしれません。そういう時のために、これらのフラッグを是非覚えておいてほしいと思います」

■ストラップ付き防水パックの使用も

近野解説委員
「万一水の事故が起きた時、救助機関に速やかに通報できるように、連絡手段を確保することも大事です。水没して使えなくなることを防ぐために、ストラップ付きの防水パックを使うことも推奨されているそうです」

森アナウンサー
「それをつけたまま、海の中に入るということですね?」

近野解説委員
「水没すると本当に使えなくなってしまうので注意は必要ですが…」

森アナウンサー
「こういった装備やライフジャケット、フラッグの知識など、それで予防できることがあるのであればぜひ気をつけていただきたいですよね」

近野解説委員
「お盆明け以降も暑い日が続きそうで、海で遊ぶ機会はこれからも多いと思います。後悔は先には立ちませんので、油断をせずにしっかりと備えた上で、海にお出かけになってください」

(2024年8月13日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。

#みんなのギモン

https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html

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