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死亡相次ぐ──子どもの「水難事故」防ぐには 5割は川で…危険な場所は? 「浮き具」誤った着用で事故も【#みんなのギモン】

2024年7月9日 9:22
死亡相次ぐ──子どもの「水難事故」防ぐには 5割は川で…危険な場所は? 「浮き具」誤った着用で事故も【#みんなのギモン】
川遊びをしていた子どもが死亡する事故が、全国で相次いでいます。子どもが行方不明になったり亡くなったりする水難事故の約5割は河川で起きています。川はなぜ危ないか、どう見守るべきか考えます。プールでの事故や浮き具の使い方にも注意が必要です。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「子どもの水難事故 どう防ぐ?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●子どもの事故 川が5割
●プールも注意 浮き具の使い方

■水深145センチ…小5が溺れて死亡

山崎誠アナウンサー
「週末にかけて、子どもが亡くなる水の事故が相次ぎました。7日夕方、愛媛・西条市の川で家族で遊びに来ていた小学5年生の女の子が溺れる事故がありました。女の子は病院に搬送されましたが、その後死亡が確認されました」

「女の子は水深145センチの場所で溺れていたということです。145センチというと、小学5年生の平均的な身長と同じぐらいです。口などは(水面より上に)出ない状況です。警察は事故の詳しい原因を調べています」

■神奈川と鹿児島の川でも死亡事故

山崎アナウンサー
「また5日には神奈川・横浜市の川で、友人3人と遊んでいた小学5年生の男の子(10)1人が溺れ、搬送先の病院で死亡が確認されました。この男の子はライフジャケットは着けていなかったということです」

「6日には鹿児島・南九州市の川底で中学3年生の男子生徒(14)が亡くなっているのが見つかりました。男子生徒は同級生やその保護者と遊びに来ていたということです」

鈴江奈々アナウンサー
「小学校の高学年ぐらいになると、友達同士で外に遊びに行くということもあります。一方で、近くに保護者がいてもこういった水の事故が起きていると思うと、改めて怖さを感じますね」

■7~8月に圧倒的に多い水難事故

山崎アナウンサー
「どんな状況でも起きうるということですね。まず川について見ていきます。警察庁のデータに基づいた河川財団の分析によると、2003~2023年に中学生以下の子どもが亡くなったり行方不明になったりした水難事故は河川が一番多く、5割近い48.5%に上っています」

「次いで海が22.6%、湖など(湖沼池)が13.2%、用水路が9.1%、プールが4.8%となっています。川などでの水難事故は7月と8月、この時期が圧倒的に多いんですね」

斎藤佑樹キャスター
「(事故が多いのは)河川ということで、僕自身も小さい頃は渓流などで遊んだことがありました。いつも遊んでいる場所でも、夜に雨が降って地形が変わってしまうことがあるんですね。そうすると、足がつかなくなってしまうことなどもあるので心配ですよね」

■深い「淵」と浅い「瀬」が続く川

山崎アナウンサー
「この間遊んだ場所と一緒なら大丈夫、ということが通じない可能性がありますからね。川の危険性については、流れがあることに加え、地形が複雑という点もあります」

「川の蛇行している箇所には、流れは緩やかでも水深が深い、『淵』と呼ばれる場所があります。この淵と淵をつなぐ比較的真っすぐな区間を『瀬』と言いますが、ここは水深は浅いものの流れが速いです」

「このように深い場所と浅い場所が続き、1本の川で同じように見えても場所によって深さや流れは変わります」

■堰堤の真下では「循環流」が発生

山崎アナウンサー
「さらに河川には、人工的に整備されている場所もあります。水の流れを変えたり勢いを弱めたりするための石やコンクリートが置かれ、流れがより複雑になっている場所や、取水口が設置されて吸い込まれてしまう場所もあります」

「堰堤(えんてい)という小さな堤防の真下では、渦巻いた『循環流』となり、ここに入ってしまうと子どもだけでなく大人でも脱出は難しいということです」

■軽く流されやすい子どもを見守る場所

河出奈都美アナウンサー
「川では絶対に安全だと言える場所はないとは思うんですが、自分が子どもの頃川遊びを経験したことを振り返ると、楽しかったりいろんな発見があったり…。体験させてあげたいという人も多いと思うので、大人はどういったことを意識すればいいのでしょうか?」

山崎アナウンサー
「河川財団によると、大人も子どももライフジャケットを着用した上で、大人は子どもよりも下流にいるようにということです。上流側にいると子どもが流された時、救助が間に合わないということが起きます」

「大人もライフジャケットを着用し、あらかじめ下流で流れが緩やかな場所を確認しておくことが大切だということです。子どもは軽くて流されやすいため、救助が間に合わないということもあります」

森圭介アナウンサー
「私も水遊びをする時は自分もライフジャケットを着るようにしています。親御さんはいつもお子さんから目を離さないようにしていると思いますが、水辺で遊ぶ時は本当に、瞬きの一瞬で状況が変わることがありますからね。気を付けないといけません」

■高知のプールで4年生の男子が死亡

山崎アナウンサー
「プールにも注意が必要です。高知・高知市では小学校の水泳の授業で4年生の男子児童が溺れて亡くなる事故が起きました」

「亡くなった児童が通う小学校ではプールのポンプが故障していたため、4~6年生は水深が10センチ以上深い、近くの中学校のプールを借りて水泳の授業を行っていました」

「事故のあった5日は4年生の授業が行われていて、担任2人と教頭の3人がついていましたが、事故当時の状況は3人とも見ていなかったということです」

「高知市教育委員会は、市内の学校の今年度の水泳の授業を中止し、今後第三者委員会を設置して事故の検証を行う予定です。原因の究明が待たれますが、プールでの思わぬ事故を防ぐ方法を知っておくことも大切です」

■プールでの事故を防ぐ3つの注意点

山崎アナウンサー
「日本ライフセービング協会では注意点を挙げています」

「まずは飛び込まない、潜らないなどのルールはしっかり守る。事前に体調を確認し、体調が優れないようならプールに入らないことも大切です。また十分なウオーミングアップと泳いだ後のクーリングダウンも、ケガや溺れることを防ぐために有効だということです」

斎藤キャスター
「体調確認は本当に大事だと思います。陸と水で違うので、ガクッと『あ、疲れてきたな』という瞬間が来ることがあります。その辺は気を付けないといけないですね」

■「アームリング付き浮き具」で事故も

山崎アナウンサー
「また、小さいお子さんとプールに行く際、アームリング付きの浮き具を使うことがあるかもしれません。誤った使い方によって、子どもが溺れる事故が起きています」

「こうした浮き具は本来、両腕と胸の方に来るように着用するものですが、去年8月には誤って浮き具を背中側に着けた3歳の男の子がプールで溺れる事故があったということです」

「日本ライフセービング協会が協力した国民生活センターによる実験映像では、背中側に浮き具が来ていると、子どもがうつぶせの姿勢となり、顔が水につかって呼吸が困難になる様子が確認できました」

■水際でもライフジャケット着用を推奨

山崎アナウンサー
「国民生活センターでは、ライフジャケットとは違って命を守るものではないとした上で、正しい向きで浮き具を体に密着させて使用するとともに、付き添いの大人も子どもと一緒に水に入り、近くで見守ることを呼びかけています」

鈴江アナウンサー
「浮き具と一言で言ってもいろんな種類がありますし、インターネットなどでも簡単に手に入ると思うんですけれども、しっかりと説明書を読んで子どもに着用させたいなと思いました」

「ライフジャケットの着用は水の中だけでなく、(川の)近くで水遊びをする時も大事ですよね」

山崎アナウンサー
「そうですね。水辺、水際でもライフジャケットを着けることが推奨されています。川から3~5メートル離れたエリアまでは着用が推奨されています。川は急な増水もあるので、常に備えを続けることが勧められています」

「プールや川、海などに行く際には下調べや準備を万全に行い、決して子どもや家族からは目を離さないようお気を付けください」

(2024年7月8日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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