現状は2.2%――女性役員「2030年までに30%」どう達成? 6年で40%到達のノルウェーでは…未達成なら“会社解散”も
岸田首相が、企業の女性役員の比率を2030年までに30%以上にするという目標を掲げました。最新の調査では2.2%にとどまりますが、達成は可能なのでしょうか? 先進的な国内企業の取り組みや、さまざまなルールが定められている海外の例から考えます。
有働由美子キャスター
「10人いたら3人以上。これは岸田首相が27日に示した、企業における女性役員の比率の目標です。上場企業の中でも時価総額が大きい企業で、7年後の2030年までに30%以上にするといいます。この目標は達成できるのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「何もしないで自然とクリアできる目標ではなさそうです。この30%を達成している企業は、最新の調査では2.2%(去年7月、プライム上場企業)です。達成している企業に聞きました」
小栗委員
「コンビニのローソンは、社内選考の際に『多様な意見は必要だよね』『女性もある程度の割合は入れましょう』という意識を持って役員を選んでいるということです」
「化粧品メーカーの資生堂は、2030年までに女性の管理職を50%以上にするという目標を立てていて、そこに向けて女性リーダー育成のための社内研修プロジェクトなどを実施。そうしたところ、女性の役員も増えて取締役・監査役は40%になったということです」
有働キャスター
「意識もそうですが、目標というのがカギになりそうですね」
小栗委員
「海外では目標達成のためにさまざまなルールがあります。内閣府男女共同参画局によると、イギリスでは原則、企業が上場する条件として取締役の40%以上を女性に、最低1人を少数民族出身に、としています。2022年の女性役員の割合は40.9%となっています」
「アメリカにも似たようなルールがあり、女性を最低1人、LGBTQ+などを最低1人とするよう求めています。2022年の女性役員の割合は31.3%です」
「ノルウェーは2002年の段階では女性役員は上場企業の6%でしたが、2008年には40%を達成しました。2022年は43.2%です。40%の目標を達成できない企業は裁判所に報告され、最悪の場合、会社を解散させられる可能性があるといいます」
有働キャスター
「そこまでしないと目標の達成は難しいのかなと思います。日本もそのようなルールが必要になりますか?」
小栗委員
「内閣府によると、今日本では企業が出す有価証券報告書に『女性役員の割合』という項目があり、これを開示する義務はあります」
「新たに検討されている案はそれに加え、数値目標も企業ごとに決めてオープンにし、達成できているか、みんなにチェックされる体制を作ることで進めようとしています」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「オープンにしていくのはとてもいいなと思います。ラグビーの日本代表は多国籍で多様な集団でしたが、それぞれの違いからたくさんのことを学び、いいチームになったと思います」
「これから企業も女性の役員が増えると思います。最初はいろいろあるかもしれませんが、そこから多くのことを学び、その先にどんな会社や社会になるのか。ワクワクしながら取り組んでほしいと思います」
有働キャスター
「今年1月の国会の議院運営委員会の写真を見ると、全員男性でした。ノルウェーは6年で劇的に(女性役員を)増やしましたが、政治と経営者の本気が問われています」
(4月27日『news zero』より)