園児にわいせつ…元保育士に懲役14年の判決 子どもの性犯罪被害防ぐには?
勤務先の保育園で女の子7人に対し性的暴行を加えるなどした罪に問われた元保育士の男に対し、懲役14年の実刑判決が言い渡されました。
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長田凪巧被告(27)(今年9月 被告人質問より)
「自分をコントロールできずに欲のおもむくままに行動してしまった」
自身の行動をこう振り返ったのは、女の子7人に性的暴行を加えるなどした罪に問われている元保育士で2人の子どもの父親、長田凪巧被告(27)。
勤務先の保育園で及んだとみられている犯行に14日、下された判決は…
裁判長
「被告人を懲役14年に処する」
「卑劣極まりない」とし、懲役14年の実刑判決が言い渡されました。
2021年から去年にかけて起こしたとされる複数の女の子を狙った犯行。検察側は、1人で園児らの昼寝の見守りをしていたときにトイレや押し入れに女の子を連れ込むなどしていたと指摘。
中には、おもちゃの場所を尋ねるふりをして女の子を呼び出したり、防犯カメラの死角にあるピアノの下に連れ込んだりしたこともあったとしています。
さらに、そのうちの3人についてはスマートフォンを使い、犯行の様子を撮影していたということです。
起訴内容をすべて認めている長田被告。今年9月に行われた裁判で犯行の動機について問われた際には…
長田被告(被告人質問より)
「自分の欲に負けてしまったからです。私が所持していた児童ポルノの動画に映っていることと同じようなことをしてみたいという欲です」
また、幼い女の子に対して性的欲求があったにもかかわらず保育士を続けていたことについては…
長田被告
「率直に不適切であると思いました」
検察側
「なぜやめずに被害者を増やしたのか?」
長田被告
「自分の実家の保育園を継ぐというプレッシャーを感じていて、(性的欲求について)相談することも病院に行くこともできず、どうしようもない状況で(保育士を)続けていました」
保育園を継ぐ立場にいたため、やめられなかったと説明。
身勝手な理由で、犯行を続けていたとみられる長田被告。10月の裁判では、被害に遭った女の子の母親が娘から事情を聞いた際の状況を明かしました。
女の子(当時5)の母親(先月 保護者意見陳述より一部抜粋)
「(娘は長田被告から)『言ってはいけないと言われた』と。娘は話していいのかわからないと思っているのか、複雑な表情でした。いまでもその表情が頭から離れません。娘は寝言で『やめて』と繰り返すことがあります。いまだに苦しんでいる。保育士としての立場を存分に利用して卑劣な行為をした長田が憎いです。可能な限り重い刑罰がくだることを心から望んでいます」
そして14日、長田被告に言い渡された懲役14年の実刑判決。
裁判長
「被害者が性的意図を理解することも抵抗もできない未熟な年齢であることにつけこんだ、卑劣極まりない犯行。保育士という立場を悪用し、児童を欲求のはけ口とする犯行を繰り返し、その悪質性は顕著」
長田被告は、身動きせず判決を聞いていました。
あとを絶たない子どもへの性暴力を防ぐため、今年6月には新たな法律が成立。「日本版DBS」の導入が決まりました。(※2026年中に施行予定)
政府が性犯罪歴の情報をデータベース化して管理する仕組みで、性犯罪歴が確認された人は10年または20年、子どもと接する業務に就けなくなります。この制度は「再犯」を防ぐためのものです。(※刑法の種類による)
では「初犯」を防ぎ、性暴力をなくすためにはどうしたらいいのか。専門家は…
こども政策に詳しい 日本大学 末冨芳教授
「日本は保育士免許や教員免許を取る段階ですら、もし子どもに性暴力が起きたらこう対応するんだということ自体が全くトレーニングなされていません。子どもに関わるすべての大人が子どもを守る、特に性暴力から守ることの研修を必修化しないと全く間に合っていない状態」
保育所や学校などに防犯カメラを設置することも有効だといいます。
こども政策に詳しい 日本大学 末冨芳教授
「例えば性犯罪を防ぐだけではなく、起きたときに確実な証拠を得ることも含めて少しずつ進んでいくのではないか」
保護者ができることは…
こども政策に詳しい 日本大学 末冨芳教授
「保護者の方に伝えたいのは、子どもにそもそも性暴力は何か教えなければならない。うんちやおしっこを失敗したとき以外は(大人は)絶対に子どものおしりや性器を触らないんだよと約束をしているから、その約束を破った大人がいたら他の大人に教えてねという。ルールをわかるときから教えていく。それを全員が共有していくことで抑止力になる」
そして、子どもが相談してきた際に大切なことは…
こども政策に詳しい 日本大学 末冨芳教授
「やってくれた(相談してくれた)子どもをあなた偉いね、よく教えてくれたねと認めていくことがすごく大事」
(11月14日放送『news zero』より)