1匹のハチを追いかける本気の“宝探し” 長野・伊那市の伝統行事「すがれ追い」に密着
先月31日、長野・伊那市で「すがれ追い」が行われました。「すがれ追い」とは、ハチに目印をつけて追いかけ、巣を探し当てる伝統行事です。小さな手がかりをたよりに進む、大人の本気の“宝探し”を取材しました。
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「出るよ…。行ったよ、行け行け行け!」
草をかきわけ、全力で山の中を走る大勢の大人たち。必死に探すのは、1匹のハチです。
「すがれ追い」は、地面や土の中に巣を作るクロスズメバチなどにエサのついた白いひもをくわえさせ、それを目印に追いかけて巣を探し当てます。ハチの子を食べる文化が残るこの地域の伝統行事です。
小さな手がかりをたよりに進む本気の宝探し。
「行ってるよー。追え追え追え。追え追え!」
道なき道を進み続けると――
「きたきたきたきた」
「ちょっとまっててね。動かないでね」
もう、今はハチしか見えません。そして、ついに…。
「やっぱりここじゃん」
「いたー!」
「あったー!!」
「ゲットしましたーどうぞ!」と無線で連絡しました。地面を掘ると、ソフトボールくらいの大きさの巣が出てきました。
「おー取れた」
「お宝発見」
約30人が参加し、3つの巣が見つかりました。
地元の愛好会は、伝統の「すがれ追い」を若い人にも受け継いでいきたいとしています。