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生産現場に“異変”…秋の味覚「栗」ピンチ

2019年10月8日 18:54
生産現場に“異変”…秋の味覚「栗」ピンチ

秋の味覚の一つ、栗がおいしいシーズンがやってきた。しかし、今年は栗の生産量が大きく落ち込む事態になっているそうだ。いったい何が起きているのだろうか。

◆栗に「ある異変」

日本有数のブランド栗である兵庫県の「丹波栗」を使った「栗ごはん弁当(660円)」や「丹波栗おにぎり(1個210円)」(※ともに数に限りがあります)。今、丹波の栗は旬を迎えていて、地元の兵庫・丹波市『道の駅 丹波おばあちゃんの里』はお客さんでにぎわい、できたての焼き栗なども人気だ。

しかし今、この栗に「ある異変」が。

『丹波春日焼栗会』安永大生さん「日数を少なくして(焼き栗を)やっている。量が少ないということでね」

深刻な「栗不足」が起きているという。

◆生産量は平年のわずか6割。原因は?

栗の生産現場では、現在、収穫はほぼ終わっているというが…

『マロンパーク由良』由良和宏さん「だいたい800キロ平年取れていたところ、今現在で500キロまでいってません。(Q:農園としては)厳しいですよね」

今年の栗の生産量は、平年のわずか6割だった。主な原因というのが──

『マロンパーク由良』由良和宏さん「一番大変だったのは台風の風。(ある品種は)8割5分くらい落とされてしまった。それは全く商品になりません」

その時の写真を見ると、落ちているのは、すべて台風の強風で落果した栗。果実が熟す前だったため、壊滅的な被害を受けた。

◆影響は都内の青果店にも

台風の影響は、東京都内の青果店でも──

東京・大田区『やまいち商店』清水淳店長「今年はものすごく入荷少なくて、栗全体、高値で取引されている。例年は1キロ単位で売っているんですけど、今年は750グラムとかで(販売)」

日本一の生産量を誇る茨城県産の栗も、台風被害で入荷が少ないため、店では例年よりも中身を減らして販売。栗の販売価格は1キロあたり例年では400~500円のところ、今年は800~1000円になるという。

◆台風被害を免れた栗にも「異変」。原因は?

一方、台風被害を免れた貴重な栗にも「異変」が。

『マロンパーク由良』由良和宏さん「非常に割れ栗が多い。生栗としては商品になりません」

殻がぱっくりと2つに割れてしまった栗。見た目のせいで商品価値が下がり、むき栗や加工品として売るしかすべがないという。

殻が割れた原因について、専門家の兵庫県立農林水産技術総合センター・黒田英明さんに聞くと──

黒田英明さん「栗が太るときに7月、8月中下旬、非常に雨が多かったので、中の果肉が予想以上に太ってしまって、鬼皮(殻)を突き破って割れてしまった」

兵庫県の産地では、7月や8月にまとまった雨が多くふり、果肉が雨水を一気に吸うなどして成長しすぎて殻を破ってしまったという。

割れ栗でも味は問題ないということだが、出荷量の減少が心配されている。