人気の“ウサギの島”観光客急増で異変が…
野生のウサギと触れ合えることで人気の島。しかし今、ある問題が起きているという。観光客は8年間で3倍近くに急増しているが、実は、増えているのは観光客だけではなかった。
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広島県竹原市の桟橋から船でおよそ15分。瀬戸内海に浮かぶ「大久野島」。
島の周囲はおよそ4キロと、徒歩でも十分回れるほどの広さ。また、島内には日本軍の施設跡地が点在する。全域が国立公園に指定されている人気観光地だ。
そんな「大久野島」最大のウリが、島に住むたくさんのウサギたち。なにやら地面をはむはむする様子や、自ら掘った穴に入って休む様子など、かわいいウサギたちの姿目当てに、多くの観光客が訪れる。
神奈川県から来た観光客「とってもかわいいです!」
岡山県から来た観光客「もふもふです。かわいい」
中には、外国人観光客の姿も。
スイス人観光客「本当にたくさんのウサギがいるのね。ウサギを見るのは、かわいくてたまらないわ」
数年前、大久野島のウサギたちの動画がインターネットで拡散。すると、10年前は13万人ほどだった年間の観光客数は、2017年には36万人以上と、3倍近くまで急増した。
【大久野島・観光客数(※市外からのみ)2009年:約12万8000人 2017年:約36万2000人】
さらに、観光客が島内で消費するお金も2億円以上もアップするなど、ウサギさまさまの状態となっている。
【大久野島・消費額 2009年:約7億1200万円 2017年:約9億4100万円】
竹原市によると、ウサギは元々島にいたものではない。戦後、小学校で飼われていたウサギが持ち込まれ、これが大繁殖、今では「大久野島」は、“ウサギの島”とも呼ばれている。
しかし、このウサギたちをめぐり、ある問題が起きている。
中国四国地方環境事務所・自然保護官 岡部佳容さん「観光客の方々がそれぞれ、ウサギのエサを持ち込んでおられて、そのエサの量が増加したことによって、ウサギも増加傾向にあるのではないかと考えている」
島を管轄する環境省によると、2006年はウサギの数は300匹ほどだったが、現在は920匹まで増加。
観光客らが与えたエサによってウサギの栄養状態がよくなり、繁殖回数が増えた可能性があるという。
中国四国地方環境事務所・自然保護官 岡部佳容さん「ウサギは縄張りを持つ生物ですけれども、ウサギ同士のケンカが増えてしまう。ケガや病気が増えているのではないかと」
島を訪れた人たちから、ケガなどをしたウサギが増えているという目撃情報が寄せられているという。
先月、環境省はこうした課題解決のためのワークショップを開催。一般参加者30人を集め話し合いが行われた。ワークショップはあと3回開催され、その後、報告会が行われるという。
島の貴重な観光資源をどう守っていくのか、注目される。