首都直下なら…断水復旧に「17日」 頼みは“給水ステーション”…都内に213か所 「地震に強い水道」へ
関東大震災の発生から100年となる2023年、災害時でも、私たちに欠かすことができないのが「水」です。大地震から水道を守るため、様々な対策が行われています。
東京・東大和市にある村山上貯水池と村上下貯水池。川の水をためて、都民に安定的に水を送るための大切な施設です。
東京都水道局西部建設事務所・内藤賢一 工事第二課長
「(埼玉県にある山口貯水池を含めた3つの貯水池は)東京都民の水の使用量で換算すると、約1週間分の水をためることができます」
現在、村山上貯水池は、大規模な工事が行われています。
東京都水道局・内藤課長
「耐震診断を行いまして、貯水機能には影響はないんですが、堤防の上が道路になっていて、こちらが沈下すること。それから斜面の一部が変形するという結果が出たため、耐震化工事を行っています」
このため、強度のある盛り土にして耐震性を強化。地震に強い構造物に造りかえているのです。
東京の水道水はほとんどが利根川、荒川、多摩川の水を使っていて、東京都水道局はおよそ1400万人の都民に水を供給しています。
東京の水道の歴史は古く、いまのような鉄の管を使った水道が整備されたのは明治時代で、今年で125周年となります。
しかし、1923年の関東大震災では水道施設は大きな被害を受け、水の供給ができなくなる事態になってしまいました。そこで、被災した人たちへ「応急給水」が行われたといいます。
この災害時の「応急給水」は、形を変えて現代にも受け継がれています。東京・新宿区の歩道の脇には、「災害時給水ステーション」と書かれた場所があり、シャッターを開けると、蛇口が設置されていました。
東京都水道局サービス推進部・中川雅敏 管理課長
「断水がおこった時に、地域の皆様に水をお配りする施設になっております」
この「災害時給水ステーション」では、公園などの地下に大きな水槽を設置していて、水道管がつながっているため、常に新鮮な水をたくわえているのです。
東京都水道局・中川課長
「給水車は機動性をいかして医療機関に水を運ぶ役割。災害時給水ステーションは多くの水量を確保できるという特性がありますので、地域の皆様に必要な水量を確実に供給する」
また、給水前には水質の確認も行い、災害時でも“安全でおいしい水”を供給するということです。災害時に開設される給水ステーションは現在、都内に213か所整備されていて、場所はアプリなどで確認することができます。
ただ、注意すべきなのが「重さ」。水道局は、重い水を運ぶため、リュックなどを準備してほしいと呼びかけています。
切迫する「首都直下地震」。2022年度に公表された都の被害想定では、都内の上水道の26.4%で断水が発生、復旧までに17日かかると想定されています。
東京都水道局総務部 島野敏寛・水道危機管理専門課長
「首都直下地震に備えるというのは最重要課題」
「安定的にお配りすることが使命。断水しにくい水道をつくるというところです」
いま、進められているのが“地震に強い水道管”の整備です。
それは「耐震継手管」というもので、水道管のつなぎめにストッパーがあることで、大きな揺れによって管が外れるのを防ぐといいます。さらに、強い材質のため折れたり割れたりすることもないということです。
一方で、私たちが今からできる備えは何なのか。
東京都水道局・島野専門課長
「発災後3日間は混乱などによって十分な物資の支給がないと思われるので、水を備蓄することをお願いしたいと思います」