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“難民の終わりなき旅”私たちにできること

2019年12月2日 15:46
“難民の終わりなき旅”私たちにできること

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「難民の終わりなき、強いられた旅路」。フリーの外科医で国境なき医師団の吉野美幸さんに聞いた。

紛争や迫害などにより、過去最多となる7000万人を超える難民たちが危険な移動を強いられている。国境なき医師団では「終わりの見えない旅路=Endless Journey」を終わらせたいと、11月からキャンペーンを実施。シリアやロヒンギャのなど5つの人道危機を動画やイベントで伝えている。

【URL】
https://www.msf.or.jp/tabi/


――吉野さんこのキャンペーンで伝えたいことは何でしょうか?

『Endless Journey → End This Journey』ということです。世界ではやはり暴力とか迫害などで自分の住んでいる地域を追われてですね、いろんなところに避難しなければならない人たちがたくさんいるんです。その避難の道自体もすごく危険で長い旅路であったりとか、例えば地中海をボートで渡ろうとしてたくさんの人が命を落としたりしています。

運良くヨーロッパにたどり着いたとしても、またそこで受け入れてくれる施設がなかなか良くなかったりとか、本当に狭いところに閉じ込められて、人としての扱いを受けてもらえないなんていうこともあったりします。その「終わりのない旅」を強いられている人たち、この現状を知ってもらって、この旅を何とか終わらせたいということで、この『End This Journey』というのを私たちはキャンペーンとして今回掲げています。


――私たちがイメージする「旅」というものと全く違う世界がそこにはありますね。

楽しくどこかに旅行するというのでは全然なくて、本当に強いられて、仕方がなく自分たちの国を捨てなきゃいけないっていう旅路になります。


――私も動画を拝見させていただいたんですけれども、知れば知るほど、いかに自分が知らなかったかを知らされるといいますか。

そうですね、やはり一番最初に何ができるか、知ってもらうことっていうのがすごく大事だと思うので、例えばインターネットで調べてもらったり、少しずつ知ってもらうところから始めてもらうのが大事かなと思います。


――その他に何か私たちにできることは、どういったことがあるでしょうか?

まず情報を知ってもらって、できたらそれを話題にしてもらう。例えばSNSでシェアしてもらったり、友達の間で意見を交換してもらったりとか、少しでもそうやって知ってくれる人を増やしていくっていうところから始めていただければいいかなと思います。


――キャンペーンの期間中には「国境なき医師団」の皆さんの活動を体験できるような展示などもあるとお聞きしました。

現状を少しでもわかってもらえるように、体験型のイベントを用意しているので、ぜひそこに来ていただいてですね、どんなつらい思いをしてるのかというものを少しでも感じていただければいいかなと思います。


――まずが知ることが小さな一歩のように見えて、大きな一歩につながりますね。

最初の一歩ってすごく大事なことで、なかなか踏み出しにくいんですけど、その一歩から始めてもらうのが大事ですね。


■吉野美幸さんプロフィル
フリーの外科医で国境なき医師団の日本理事。その経歴から「ドクターY」とも呼ばれる。一家で自転車店を営みながら、家族全員で別のアルバイトをして学費を稼ぎ、医大を卒業した。2012年から国境なき医師団に参加し、アフガニスタンやイラクなど9つの国と地域で活動。現在はフランスに拠点を移しフランスの医師国家資格取得を目指している。


【the SOCIAL opinionsより】