落とし物は“ヤギ”?…にぎわい戻り「忘れ物」も増加 4年間で動物10万匹
コロナ禍前の日常が戻りつつある中で、落とし物や忘れ物の数も戻り始めています。中には困ったモノも増え、生きているヤギが警察に届けられたことも…。外国人観光客が増えた大阪のホテルでは、“代行サービス”を使って、荷物を配送していました。
◇
雨が少しでも弱くなれば…。そんな願いも込めて、いろんな柄のてるてる坊主が埼玉・神川町の温泉施設「おふろcafe 白寿の湯」でつるされていました。客が忘れていったタオルで作った物だといいます。
2日も、脱衣所のかごに入ったままになっているタオルがあり、施設スタッフは「この置き方だと忘れ物かな」と話していました。忘れ物のタオルは、1年で約1000枚あるといいます。
おふろcafe 白寿の湯 鎌田奈津実支配人
「忘れたまま、問い合わせがないタオルも多い」
1枚でも持ち主に返そうと、てるてる坊主にして飾っていますが、持ち主が自分のタオルだと気づき、持ち帰ることも多いということです。
◇
京王電鉄では、コロナ禍だった2021年と現在とで比べて、1日の忘れ物の平均件数が、約100件増加したといいます。
京王電鉄 八巻慎吾さん
「(落とし主からの問い合わせについて)電話や対面で受け付けをしていましたが、多大な時間がかかるという課題を抱えていました」
そこで先月から始めたのが電話確認の必要がない、LINEで完結する便利なサービスです。LINE上でやり取りを進めるので、電話と違って自分の好きな時間やタイミングで作業ができるのです。最終的に忘れ物が見つかると、受け取るための案内が表示されます。
事前に行った実証実験では、このサービスを利用することで、電話や対面と比べて返還できた数が3倍になったといいます。
◇
日常が戻ったことで、埼玉・川口市の「上青木商店 天神橋店」ではうれしい変化がありました。店内を見てみると、1本100円の傘に1個100円のモバイルバッテリーなど、さまざまな商品が“驚きの安さ”で並んでいます。
その秘密は仕入れにありました。商品はもともと、JR東日本や東京メトロの忘れ物だったのです。
上青木商店 天神橋店・長谷川店長
「放っておきますと廃棄されてしまうので、我々もできるだけロスがないような形で(販売)できれば」
ただ、コロナ禍では忘れ物が減り、仕入れが3分の1ほどにまで減少したといいます。それが今、倉庫には仕入れた忘れ物の段ボールや袋がびっしり置かれていました。コロナ前近くにまで量も種類も回復したといいます。
◇
一方、コロナの制限緩和などで、外出する人や観光客が増えたことで、「困った落とし物」も増えています。
去年、ヤギが落とし物として警察に届けられました。コロナ禍でペットを飼う人が増えましたが、警察庁によると、令和に入った4年間で、動物の落とし物は10万1839匹にのぼるといいます。保管期間は世話をする必要もあり、担当する警察署の負担になっているといいます。
◇
困った忘れ物が増えたのは、大阪市のホテル「カンデオホテルズ大阪なんば」も同じようです。忘れ物は最大1か月保管するということですが、1週間分だけで棚は、ほぼパンパンになっていました。
外国人観光客が戻り、このホテルでは、宿泊客の9割が外国人観光客だといいます。当然、忘れ物の持ち主もほとんどが外国人で、海外への配送は手間となってしまいます。
カンデオホテルズ大阪なんば・店舗責任者 南詩織さん
「代行サービスを利用して、お客さまへ送らせていただいています」
忘れ物の代行発送を行う「オー・エス・エス」には、2日も全国のホテルなどから忘れ物が届いていました。
オー・エス・エス 荒本修一代表
「ここ(テーブルの上)に置いてあるのが、今から国際配送で送る荷物。1つめの行き先がUSA。中のメインが車のキー」
ほかには韓国やタイ、イギリス宛ての荷物もありました。
荒本修一代表は「コロナの間は月に2~3個。今は月に1000個前後、来るようになっている。忘れ物が復活してしまっている」と話しています。