天皇皇后両陛下 即位後初の沖縄訪問 慰霊の時を過ごし多くの人と交流
天皇皇后両陛下が22日と23日の2日間、即位後初めて沖縄を訪問されました。2日間を通して多くの人と交流を重ね、沖縄に強い思いを寄せられる訪問となりました。
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即位後、初めて沖縄を訪問された天皇皇后両陛下。お2人そろっての訪問は25年ぶりです。
到着後にまず向かわれたのは、沖縄戦で激しい地上戦が行われた南部の糸満市です。両陛下は、国立沖縄戦没者墓苑で白いユリの花束を手向けられ、戦没者を慰霊されました。天皇陛下は、沖縄戦の遺族に「おつらかったでしょう」などと言葉を掛けられました。
たびたび上皇ご夫妻の慰霊に立ち会ってきた遺族の照屋苗子さん。照屋さんは沖縄戦で家族5人を亡くしました。
沖縄戦で家族5人を亡くした照屋苗子さん(86)
「やはり、お二方も上皇ご夫妻のお心を引き継いでいらっしゃるんじゃないかなと。お話する時には、私たちの顔、目をじっと見て、そして聞いてくださる。本当に、遺族としてはありがたいなと思っています」
その後、両陛下は沖縄戦などで亡くなった約24万人の名前が刻まれた「平和の礎」へ向かわれ、1人1人の名前を見ながら静かに慰霊の時を過ごされました。
新型コロナウイルス対策で人の密集を避けるため、訪問先や時間の詳細は多くが公表されませんでしたが、沿道には大勢の人の姿が見られ、両陛下は出迎えた人に手を振って応えられました。
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訪問初日の夜、両陛下はかりゆしに着替えられ、5月に行われた沖縄復帰50周年記念式典の関係者と懇談されました。
式典で県民代表としてあいさつに立ったのは、高良政勝さんです。終戦の前の年にアメリカ軍の魚雷攻撃で沈没した学童疎開船「対馬丸」の生存者です。陛下から「対馬丸、本当に大変でしたね」とお言葉を掛けられた高良さん。一緒に乗船していた家族9人を亡くし、その歴史を伝える「対馬丸記念館」の館長などを務めてきました。
対馬丸記念会 代表理事・髙良政勝さん(82)
「上皇ご夫妻から沖縄戦のこと、それから対馬丸のことはしっかり教えられたというか、十分受け継がれていると思います」
その夜、両陛下は侍従を通じて「沖縄戦の悲惨さや、私たちが現在享受している平和のありがたさを思い、改めて平和の大切さを心に刻みました」との感想を寄せられました。
沖縄訪問2日目の23日、両陛下は「美ら島おきなわ文化祭」の開会式に出席されました。
天皇陛下
「広く国民の間に沖縄に対する理解が、一層深まる大会となるよう期待しています」
その後、両陛下ともにかりゆしを着用され、関連のイベントを見学されました。2日間を通して多くの人と交流を重ね、両陛下が沖縄に強い思いを寄せられる姿勢を示す訪問となりました。