女性アイドルがリポートしYouTube生配信福島第一原発オンラインツアー廃炉作業、処理水問題…どう伝わった?
事故からまもなく11年が経過する福島第一原発について、"廃炉の「今」を知る"と題したオンラインによるツアーが復興庁の主催により開催されました。
YouTubeによる配信や女性アイドルによるリポートなど、今までにないやり方で廃炉への取り組みが発信されました。
オンラインツアーとはパソコンやスマートフォンで自宅などから参加する疑似旅行のこと。
今回は福島第一原発の現状をYouTubeの生配信を使って“体験”しました。
ツアーによる生配信のベース基地となったのは福島第一原発から南に約9キロの場所にある富岡町の東京電力廃炉資料館。
事故の詳細や廃炉の進捗状況などを発信するための施設です。
廃炉資料館からは木野正登さん(経産省資源エネルギー庁廃炉汚染水処理水対策官)が解説。
事故直後の状況から“今”に至るまでの取り組みや、廃炉の進め方やなどについて模型や映像などを使い紹介しました。
またナビゲーターとしてアイドルの和田彩花さんが第一原発を訪れ、構内の様子をレポートし「専門的な知識がないと、(今の福島第一原発の)情報を自分で収集していくのはすごく難しい。このような機会に、若い世代に今の状況を知ってもらいたい」と語りました。
また日本テレビnews zeroの元キャスターで関西学院大学の村尾信尚教授はコメンテーターとして出演、「小さな事故でも隠すことなく、公表していく。そういう過程の透明性の確保が重要だ」と述べました。
事故からまもなく11年。
今、注目されているのは処理水の海洋放出についてです。
国はトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を、国の基準を大幅に下回る濃度にまで海水で薄めたうえで、海に放出することを決めました。
国内では漁業関係者などから風評被害を懸念する声が起きていて、海外では中国や韓国が強い反発や深い懸念を表明しています。
この事についても大きく時間を割いて議論されました。
木野対策官「(海洋放出について)まだまだ反対の声もあります。ALPS処理水が危険だから反対というよりも、処理水を流した事によって福島の魚を買ってくれないという不安(風評被害による)反対が多い。処理水がこういうものだということを多くの国民に知ってもらい、多くの方に理解して頂きたい」
主催した復興庁は、「発災から11年が経過しようとしている中で、『どのような事故があったのか』『どのような対策が必要なのか』といった情報が全国の皆様に必ずしも届いていないという現状があることから、開催させて頂いた」とコメント。
今回のオンラインツアーには約1100人が集まったといいます。
事故から11年が経過する福島第一原発。
来年の"処理水放出"に向け、日本だけでなく近隣諸国を含め注目を集めることになりそうです。