【悪質】心ない書き込みの被害者に寄り添う僧侶…過去には自らもネットで中傷されたことが――
「私は殺人だと思っています。」インターネットでの度を越えた悪口や嫌がらせは精神的な殺人だという、僧侶の女性。群馬県・伊勢崎市にある尋清寺(じんせいじ)の住職、髙橋美清(びせい)さん。“自らも悪質な書き込みに心を痛めた経験をしているからこそ、被害者に寄り添えるかもしれない”と相談に乗り始めた。
寺にはこれまで100人以上が相談に訪れているという。この日やってきたのは、50代の男性。男性の職業は美清さんと同じ『僧侶』。SNSには 特定のアカウントから、嫌がらせのようなコメントが…。
「からかうようなツイートがずっと繰り返されて…」きっかけは4年ほど前、その相手とSNSで意見を戦わせたこと。「本人は主張していたことが否定されたのが気に入らなかったのか何かで。毎日のように、嫌がらせが…」
男性がSNSの運営会社に報告すると、そのアカウントは凍結されたものの、再び、別のアカウントから…同じような書き込みが。4年たった今でも、延々と嫌がらせは続いていて気持ちが安らぐことはないという。
「嫌なことってずっとたまってしまう。ここにおいて、よし頑張ろうと暮らして頂ければそれが一番」という美清さん。自身もかつて、心ない悪質な書き込みによって、頭に死がよぎるほど追い詰められたことが…。
それは7年前のこと。当時フリーアナウンサーだった美清さんは仕事で知り合った男性から、ストーカー被害を受ける。その後男性は逮捕され、事件はテレビや新聞などで報道されることに。ネット上で、すぐに被害者が美清さんだと特定されてしまったという。
それからおよそ1か月、思わぬ事態に…。処分を受けた加害者の男性が突然、死亡。すると、“美清さんが男性を死に追いやった”という臆測が拡散。被害者だった美清さんはまるで『加害者』のような扱いを受け、罵詈雑言を浴びせられることに。
この影響でアナウンサーとしての仕事は一切なくなり、自宅の電話には何度も非通知の着信が。さらに、自宅にまで人が押しかけてきたことも。「誹謗中傷によって人の人生が変わる、破壊される」「私は殺人だと思っています」美清さんは次第に精神的に追い詰められ死を考えるほどに。
被害を受け始めてから2年。祖父が僧侶だったことから、美清さんは出家することを決意。「すべて捨てて生まれ変わって帰ってこよう」。厳しい修行に打ち込むことで、誹謗中傷と向き合う覚悟を持ち、乗り越えられたといいます。
「インターネット上に発信するのは書いたことに対して責任を取らなきゃいけない」
今年7月には、侮辱罪が厳罰化されたが、その一方で、被害者の心のケアも忘れてはならないという美清さん。同じ被害者として共感することで心の痛みを和らげたいと、美清さんは、相談者の心に寄り添いながら、日々その声に耳を傾けている。
※詳しくは動画をご覧ください。(2022年8月22日放送「news every.」より)