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感染予防と熱中症対策 どう両立?

2020年6月5日 16:32
感染予防と熱中症対策 どう両立?

6月4日は各地で真夏日を記録しました。今年は猛暑の予想もあるなか、夏の暑さと感染予防をどう両立させれば良いのでしょうか?

■熱中症対策「湿度にも注目」

東京消防庁によると、去年、熱中症で救急搬送された人が多かったのは、気温26~35℃、湿度60~90%の範囲だったということです。

熱中症が気温だけではなく湿度にも注意しなければいけないということは、まだまだ認知度が低く、気象庁と環境省は、7月1日から「熱中症警戒アラート」の運用を始めることになりました。

これは「湿度」「日射・放射など周辺の熱環境」「気温」などといったデータをもとに「暑さ指数」を予測。不要不急の外出や、運動を控えるように強く求めるものです。

今年は関東甲信地方で試験的に運用し、来年からは全国に運用を拡大する予定です。

■マスクで熱中症対策 どうすれば

これから本格的に暑くなる中、マスクをしながら熱中症を防ぐにはどう工夫すれば良いのでしょうか?

まず、マスクをつけていると体温がどれほど上がるのか、実験しました。

サーモカメラを使い、しばらくマスクをつけたあとでマスクを外してみてみると、マスクをしていた部分が他の顔の部分よりも濃い赤色になっています。

救急医学が専門の日本体育大学大学院・横田裕行教授によると、吐く息の温度は体温とほぼ同じ36℃で、湿度は100%。

外の気温や湿度が低くても、マスクの中は非常に高温で、雨が降っている時と同程度の高湿度な状況が狭い環境で生じています。密閉されていて換気もないため、熱中症になりやすい条件がそろっているということです。

では、どうしたらいいのか。

環境省と厚労省は、屋外で他の人と2メートル以上の距離がとれている場合は、マスクを外すよう呼びかけています。

また、6月2日に再開した新宿御苑では、訪れた人に対して園内でのランニングを控えるように呼びかけています。人との距離がとれていれば、マスクをはずして休憩をとるようにも呼びかけています。

マスクは常にしている必要はなく、必要ない時はなるべく外して熱中症のリスクを減らすことが、これからの季節はとても大切です。

■マスクを外すタイミングは?

マスクを外すタイミングについて、横田教授に聞きました。

まず、家族や同居者の中に感染者がいなければ、家の中ではマスクをする必要はありません。

特に高齢者はもともと熱中症のリスクが高いため、暑い中、家の中でエアコンをつけずにマスクをしていると、感染より熱中症のリスクの方が高くなる可能性があります。

また、外でも人と2m以上の距離をあけることを意識すれば、マスクをはずしても問題ないということです。ただ、マスクの着用時に隙間があいていると意味がないため、つける時はしっかりつけましょう。

つまり、必要な時と必要でない時を意識しながら「メリハリ」をつけたマスク着用をすること。また、子どもは自分で判断できないため、親がしっかり判断して指導することが大切です。

その他にも、熱中症対策としては、自宅でもできる適度な運動で活動量を増やすことも有効です。具体的には、家の中で立って足踏みをする、スクワットをする、簡単な体操をする、など。今年は特に外出自粛で体力が落ちているため、意識的に行いたいところです。

また、本格的に暑くなる前に、人混みをさけた屋外で少しずつ体も暑さに慣らす「暑熱順化」を始めることも大事なことです。

■「涼しいマスク」も続々登場

そんな中、涼しさを売りにしたマスクも続々登場しています。

衣料品メーカーが夏向けのマスクとして開発した「ぴたマスク」は、肌に触れた時に冷たく感じられる「接触冷感」の加工が施され、通気性と速乾性を高めているので蒸れにくいということです。

さらに、ジーンズのセレクトショップがつくっている「和紙デニムマスク」。デニム素材なのですが、通気性を高めるために和紙の糸が編み込まれており、裏地には接触冷感の加工がされているということです。

コロナの感染予防と熱中症対策を同時に行わなければならないという状況は、世界の誰もまだ経験したことがありません。

データや知見も少ない中で対策は手探りの部分もありますが、最新の情報にアンテナを張って、猛暑を乗り切っていきましょう。

2020年6月4日放送 news every.『ナゼナニっ?』より