靴が大量に盗まれ山に…意外な“犯人”とは
兵庫県のある町で、住民の靴が相次いで盗まれる事態が起きています。盗まれた靴は山の中に、無造作に放置されていました。一体、何が起きているのでしょうか。
大量の靴が捨てられているのは、兵庫県丹波市春日町の住宅地にほど近い山。
臼井靖則さん(64)「あそこ(山)に靴や草履やらよく落ちているんです。これは誰かのいたずらだと思っていた」
どれほどの靴が捨てられているのか。自治会役員の臼井さんに山へ案内してもらうと…。山への入り口を通過し、わずか数秒で靴を発見。道全体に靴が散らばっていました。さらに奥へ入っていくと、サンダルに革靴、大人用から子ども用まで、ものすごい数の靴が。その数、実に150足以上。一体誰が、何のために?
臼井さん「(始まったのは)3年ほど前」
この山で最初に靴が見つかったのは3年前。それから毎年、春になると靴が捨てられるようになったといいます。町の人は…。
近所の住民「子どもの靴を洗って干していたら、いつの間にかなくなっていたりとか」「スポーツシューズをとられた。一番気に入っていたやつ」
住民を困らせる迷惑な靴泥棒。その犯人の姿をカメラがとらえていました。大学生が研究のため山に設置した定点カメラの映像には、暗闇で目を光らせる1匹の動物が。キツネです。
頭を下に向け、ゆっくりと歩いています。すると、何かをくわえて去って行きました。よく見てみると、キツネがくわえていたのは、なんとサンダル。町で盗んだサンダルを山にある巣穴近くへと運んでいたとみられるのです。
キツネの姿は住民も目撃していました。
近所の住民「そのときはびっくりしましたよ。口にくわえてましたからね。スリッパでした」
では、なぜキツネは靴をとっていくのでしょうか。
キツネの生態に詳しい麻布大学・塚田英晴准教授によりますと、人が履いた靴のニオイはキツネが好むエサのニオイに近く、勘違いした親ギツネが子ギツネに与えようとしていると考えられるということです。
この地域では、靴を外に干さないようにするなどして、キツネと共存する道を歩んでいくということです。