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【解説】歌劇団側“パワハラ”認めるも…遺族側の合意案に対しては「検討中」  宝塚・劇団員死亡

2024年2月27日 22:31
【解説】歌劇団側“パワハラ”認めるも…遺族側の合意案に対しては「検討中」  宝塚・劇団員死亡

宝塚歌劇団に所属していた25歳の女性が死亡した問題で、27日午後、遺族側代理人が会見を行いました。この中で、劇団側と遺族側で合意は今もできておらず、交渉は継続していることを明らかにしました。この問題について、詳しく解説します。

■これまでの経緯は…劇団側“パワハラ行為”「確認できず」から一転、認める

去年の9月、宝塚歌劇団の宙組に所属する25歳の女性が亡くなりました。自殺とみられています。

原因について、遺族側は「過重労働」と「上級生からのパワハラ」があったと主張しましたが、去年11月、歌劇団側は「過重労働」については認めたものの、「パワハラ」は確認できなかったとする「調査報告書」を公表しました。

これに対し、遺族側は翌月、“15のパワハラ行為”があったとする「意見書」を歌劇団側に提出しました。「上級生にヘアアイロンを額に当てられやけどしたこと」「上級生などから『下級生の失敗はすべてあんたのせいや』などと、繰り返し叱責されたこと」などがあったとしています。

その後、歌劇団側と遺族側が話し合いを続けるなか、劇団側は一転して、先月24日、「多くがハラスメントにあたる」と認めたということです。ただ、どの行為がハラスメントにあたるかは言及していないと、遺族側は27日の会見で明らかにしました。

■遺族側が求めたのは…3月中の「合意」、事実に即した「謝罪」と内容の「公表」

さらに、27日の会見で、遺族側は3月中に歌劇団側との合意締結に至ることを求めていると話しています。また、課題として、「歌劇団幹部と上級生の言い分にかかわらず、事実に即して謝罪すべき内容を特定すること」「合意書の中で謝罪した内容を公表すること」などを求めています。

これについて歌劇団側は、現在、合意した謝罪内容は公開しない案を示しているということです。

■「確認できなかった」とした劇団側…“初動対応”と“前言撤回”

この問題について、企業の危機管理に詳しい、桜美林大学の西山守准教授に話を聞きました。

藤井貴彦キャスター
「去年11月の調査報告書では、『パワハラは確認できなかった』と結論づけましたが、遺族側の27日の会見によると、一部についてはハラスメントに該当するとしました。歌劇団側のこうした対応を、どうみていますか?」

企業の危機管理に詳しい 桜美林大学・西山守准教授
「まず、2つの意味で間違っていたかなと思います。

1つめは、やはり初動対応で、まず何よりも遺族の方と向き合って、しっかり話をしておくべきだった、と思います。

2つめは、11月の記者会見でパワハラを認めなかったのを、(その後)覆して認めてしまうということで、前言撤回になってしまったわけです。

前言撤回をしてしまうと、やはり、歌劇団なり阪急側の主張が本当に正しいのかと、他のことに関しても疑念が生じてしまうという、大きな2つの間違いを犯してしまったというふうに思います」

藤井キャスター
「そうなると、去年11月の報告書に問題があった、とお考えでしょうか?」

企業の危機管理に詳しい 桜美林大学 西山守准教授
「やはり、一方的に上級生の方の意見を聞いて、“パワハラがなかった”と断定してしまったというところが、非常に不適切であったと思います。

もちろん、亡くなった団員の方や、他の団員の方々という発言もあり、LINE等の証拠もありましたので、そういったことを踏まえて、やはりしっかり調査して結果を公表すべきだったと思います」

■遺族側…阪急阪神ホールディングス・角会長が遺族に直接謝罪すべき

藤井キャスター
「歌劇団を運営する阪急阪神ホールディングスの角(すみ)会長は、歌劇団の理事を退任し、運営から退く意向ということです。遺族側は、角氏が合意締結の場で、遺族に直接謝罪すべきだとしていますが、この点についてはどうですか?」

企業の危機管理に詳しい 桜美林大学・西山守准教授
「角会長というのは、阪急阪神ホールディングスの会長という役を担っていますので、そうした、会社としての責任をしっかり果たすという主張は正しいかなと思います」

■しっかり調査・合意して…そこから出発を

藤井キャスター
「27日の会見で遺族側は、示しているハラスメント行為すべてを認めて、来月中に合意の、謝罪内容の公表を求めているということですが、これについてはどうみていますか」

企業の危機管理に詳しい 桜美林大学 西山守准教授
「やはり、遺族側の主張するとおりで、上級生の言い分というところを重視しすぎた、というところはあるかと思います。しっかり調査を行って、それに基づいたうえで、内容を特定すべきであると思います。

そもそも、27日にこうした会見が行われている時点で、遺族の方々としっかり合意ができていないという証拠になりますので、こういったところをしっかり合意をしてというところから出発しないとダメじゃないかと思います」

■再発防止のために…世の中の基準に合わせアップデートを

藤井キャスター
「2月も下旬になり、今度の春には新入生が入学する予定となります。再発防止に向けて、今後、歌劇団側が対応すべきことは、どんなことだとお考えですか」

企業の危機管理に詳しい 桜美林大学・西山守准教授
「歌劇団というのは不思議な関係があって、上下関係はしっかりしているんですけど、誰に監督責任があるのか、誰が責任者なのかというところが、少しよくわからないところが外から見ていてもある。そこをしっかり明確にして、団員に任せっきりにしない、ということですね。

あとは、団員の方との契約関係や待遇、内部通報制度をしっかりするみたいなことをやったうえで、再発防止をしっかり図っていくということです。そういったことが必要になると思います」

藤井キャスター
「宝塚歌劇団という、いわば、なかなか一般の人が入ることができない場所で起きたことではありますが、今回の件で、どのように感じていますか?」

企業の危機管理に詳しい 桜美林大学・西山守准教授
「亡くなられた団員の方の妹さんもおっしゃっているところなんですが、宝塚というところは特別ではない、ということ。上下関係や厳しい指導みたいなところは、現代、現在において認められるところではありません。なので、そういったところをしっかりアップデートして、やはり世の中の基準にしっかり合わせていく、そういったことが必要になると思っています」

■謝罪内容の「公表」を求める遺族側…歌劇団側は“検討中”

藤井キャスター
「パワハラと認め謝罪する内容の公表、“どんな内容だったのか”ということの公表を遺族側が求めているのに対し、歌劇団側は『検討中』としている、この対応についてはどうお考えですか?」

企業の危機管理に詳しい 桜美林大学・西山守准教授
「これに関しても、公表することに対して不都合があるのであれば、“どうして公表しないのか”ということを明確にすべきではないかと思います。理由があるのであればわかるんですが、そうでないのであれば、やはり、公表しないという理由付けをするのは難しいのかなと思います」

藤井キャスター
「そして、遺族側は“解決に向けた合意案を示した”と今回の会見で言っているのですが、劇団側が、案の中にある謝罪文の内容などに否定的な姿勢を示して回答を検討中としている、これについては、どうお考えですか?」

企業の危機管理に詳しい 桜美林大学・西山守准教授
「やはりこういったことも、しっかり遺族の方と話し合って、合意をしたうえで世の中に情報が出てくるというのが本来は一番望ましいことであって、本日(27日)のような形で遺族側が別途、会見を開くというような形にならないように、しっかり話し合いを持つということがまず、一番重要なことであると思います」