都内の感染者過去最多 感染拡大は世界でも
16日、東京の感染者は286人となり、過去最多を更新しました。感染者は夜の街や若者以外にも広がっていて、市中感染が懸念されています。また、世界に目を向けると各地で感染が再拡大するなど、状況は急速に悪化しています。
■都内最多感染数 最多の検査数も要因
東京都の感染者は9日から4日連続で200人を超え、その後は一度100人台になりましたが、再び16日、286人となりました。これは、緊急事態宣言が出ていた時期も含めてこれまでで最も多い数です。 13日は検査件数最多となる約4500件実施していて、その結果が反映されたとみられます。
■「夜の街」より「職場内」が多い
15日の新規感染者は165人でしたが、年齢別に見てみます。 20代、30代が大多数を占めていますが、40代以上も増えています。 また、60~80代も18人いました。
さらに、90代の男性の死亡が確認されていて、高齢者への感染拡大も懸念されています。
どこで感染したのでしょうか。一番多かったのは、「職場内」の18人でした。このうち8人は同じ職場の飲み会で感染。この職場では、これまでも5人が感染しています。
その次は、家庭内と施設内(それぞれ14人)。
一方で、夜の街関連は13人で、割合としては少ない形になりました。ただし、新宿の集団検査の結果は入っていません。
そして、半数以上の87人が、感染経路不明でした。
国立国際医療研究センターの忽那医師は東京都の現状について「もう“夜の街”だけでなく市中に広がっていると感じる。状況は悪くなっている」と話しています。
■相次ぐ「夜の街」以外での感染確認
実際、“夜の街”以外での感染は各地で確認されています。16日、新たに東京都中央卸売市場の食肉市場に勤務する20代男性の感染が確認されました。この男性は冷蔵庫の中で商品管理を担当していました。
また、大成建設は15日、都内の建設現場で作業を行っている従業員15人が感染したと発表しました。11日と12日に2人の感染が確認されたため濃厚接触者を検査したところ、15人が陽性だったということです。
さらに、青森県では20代の男性警察官の感染が確認されました。この警察官は7月10日に感染が確認された女性の濃厚接触者です。この女性は7月3日に新宿区のホストクラブを利用し、その後、青森の派遣型風俗店で働いていていたということです。
■感染経路不明者 このままだと2か月後に2万人へ
こうした中、東京都は15日、警戒レベルを引き上げたうえで、対策が不十分な店は利用しないこと、東京都外への不要不急の外出を控えるように、と呼びかけています。
都内の感染状況などを分析、評価するモニタリング会議では、専門家の1人である大曲医師は次のように述べています。
「第2波といえるのかどうかもう少し時間がたたないと分からないが、かなり近いのは間違いないだろう」
ただ、重症者が少ないことから「医療を脅かす瀬戸際まできているかどうかは、それは違うだろう」と指摘しています。 つまり、感染者数だけを見れば、第2波がすぐ近くまで迫っている状況だと評価しているのです。
さらに、これまで感染経路が分からない人が週単位で倍増しているため、このままそのペースが続くと4週間後には16倍の約1200人、さらにその4週間後には256倍になると分析しています。 つまり、今から2か月後には、1日あたりの感染経路不明者が2万人以上になる計算です。
■感染再拡大は世界でも 経済再開進むアメリカで顕著
日本でも状況は厳しいわけですが、世界に目を向けると各地で感染が再拡大するなど、状況は急速に悪化しています。
現在の累計の感染者数を見てみると、最も多いのはアメリカで約350万人。次いでブラジルで約200万人。インドもこのところ急激に感染者が増えており、約97万人と世界で3番目になっています。
感染者が世界最多のアメリカでは、1日の新規感染者数が14日、6万7417人と過去最多をさらに更新してしまいました。中でも、積極的に経済再開を進めてきたアメリカの南部や西部などを中心に、感染が再び爆発している状況です。
CNNによると、少なくとも全米で27の州が経済の再開計画を停止したり、再び制限する事態に直面しているということです。 例えばカリフォルニア州では、一度再開したレストランなどの店内飲食を再び州全域で禁止。さらに、8月から新学期が始まる公立学校でも、対面での授業をあきらめオンライン授業の継続を決めました。
■香港ではディズニーランドが再び休園
6月末から再び感染が急増している香港では、飲食店の店内営業が午後6時以降は禁止され、公共交通機関でマスクの着用が義務づけられました。違反者には罰金約7万円が科されます。 さらに、再開したばかりの香港ディズニーランドも再び閉園となるなど、危機感が募っています。
海外を見てみると、感染拡大を受け、一度再開した経済を再び引き締める動きが加速しています。
そんな中、日本ではGoToキャンペーンを予定通り進めることに対し、専門家や東京都知事、さらに与党議員からも異論が出ています。
政府はこのあと開かれる専門家会議の意見を聞いた上で、17日に正式に方向性を打ち出す予定ですが、今この状況で何が一番国民のためになるのかを、最優先に考えて決断してもらいたいと思います。
2020年7月16日放送 news every.「ナゼナニっ?」より