娘の突然死…母娘が守る老舗の酒蔵伝統の味
突然亡くなってしまった29歳の娘、幸子へ…。
“女の酒蔵”で作られた純米酒「一心」。
母・葉子さん「幸子は私たちの中にはまだずっといるんですよね」
177年続く老舗の酒蔵「長谷川酒造」に嫁いだ母・葉子さん。その伝統を守り抜く道のりは平坦ではありませんでした…。
報道リポーター「今、地震が起きています」
2004年に起きた中越地震。酒を貯蔵する蔵など2つの建物が全壊。売り上げは回復せず、葉子さんの体力も限界に達していました。
「そろそろ辞めようと思う─」そう3人の娘にメールを送った時でした。
「わたしが継ぐ─」手をあげたのはニューヨークで働いていた三女・幸子さん。当時24歳。
母・葉子さん「娘がやってくれると初めて言ったんで、やるといったら、もう私はそこに応援すると」
その姿を見た長女は仕事を辞め、二女も蔵に入ることを決意。
二女・聡子さん「妹の『やる』っていう思いと『それを支えていく』っていう姉の思いを聞いて、そこに私もいなきゃいけないなと思った」
営業の要、長女・祐子さん。事務全般を支える、二女・聡子さん。パワフルな行動力で海外に1人で酒を売り込みに行くこともあった幸子さん。蔵に新しい風を吹き込みました。
母娘4人。“女の蔵”で始まった酒造り。
しかし…それは突然のことでした。
結婚して最初の子どもを出産した幸子さん。その直後、体調が急変しこの世を去ったのです。29歳の若さでした。
その死から1年。幸子さんが亡くなる前一緒に計画していた新しい“蔵”が完成。幸子さんの“幸”をとり「吉幸蔵」と名付けました。
長女・祐子さん「立ち止まってちゃいけないんだなと」
11月。幸子さんがつないでくれた伝統の味、「一心」ができあがりました。
母・葉子さん「結構力強いね」
この日、幸子さんの墓参りをした葉子さん。
母・葉子さん「何かこう、とっても楽しかったですよね。ケンカもするけれど面白かった。親子が一つのことに向かっていったのはその時だけですね。そういう時期を持てたのは幸せなことですね、とっても。幸子は私たちの中にはまだずっといるんですよね」
※テレビ新潟で制作したものをリメイク。2020年2月放送、NNNドキュメント50周年特番「あなたは、いま幸せですか?」より。
【the SOCIAL×NNNドキュメントより】