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新型コロナ ワクチンや治療薬の最新事情は

2020年7月23日 22:50
新型コロナ ワクチンや治療薬の最新事情は

23日から4連休が始まりましたが、東京の感染者は300人を超えて過去最多となりました。23日は東京五輪までちょうど1年の節目です。1年後に本当にオリンピックが開催できるのか。そのカギを握るワクチンや治療薬の最新事情を解説します。


■東京で過去最多の366人の感染確認

23日から4連休が始まりましたが、東京の感染者は300人を超えて過去最多となりました。東京以外も大都市圏を中心に感染者が増えていて、第2波ともいえる心配な状況になってきています。23日に東京で確認された新たな感染者は366人で、1日の感染者数としては過去最多となりました。300人を超えるのは初めてです。

22日の東京の新規感染者は238人でした。年代別に見てみると、20代、30代が6割と相変わらず多いのですが、最近増加傾向にあるのが40代、50代です。こちらも実は、若者と同じように飲み会や会食での感染が多いということです。


■“夜の街”より“家庭内”が多い感染経路

また、感染経路を見てみると、“夜の街”よりも“家庭内”のほうが多くなっています。例えば、夫婦間や親子、同居の孫から祖父母への感染も確認されています。

施設内で感染した人も6人確認されましたが、こちらはすでに保育士1人の感染が判明していた目黒区の保育園で、園児6人の感染が確認されたものです。

“家庭内”と“夜の街”での感染以外に、友人からの感染も多く、別居している親と子、祖父母と孫というケースもあります。休みに帰省して家族に会いたいという方もいるかもしれないですが、感染対策に気をつけたいところです。

そして、東京では新たな集団感染も確認されました。江戸川区にある「小岩榎本クリニック」で21日までに患者や医療従事者6人の感染が確認されていました。保健所が濃厚接触の疑いがある人たちにPCR検査を行ったところ、22日に新たに19人の感染が確認されて、合わせて25人の集団感染となりました。

こうした現状に22日、小池都知事は「感染拡大警報」の状況にあるとし「現在の状況は第2波という心構えで警戒すべき」と呼びかけました。


■全国の感染者数も過去最多

22日は全国の感染者も多く、1日の感染者数としては過去最多の795人に上り、福岡、大阪、愛知、埼玉は過去最多となりました。また、緊急事態宣言の解除後としては最多となったところも多くあります。

大阪は過去最多の121人でしたが、感染経路不明が7割を占め、30代以下の若い世代が7割に上っています。これを受けて、吉村知事は会見で次のように述べました。

「感染者の数だけを見れば、これは第2波に入ってきていると評価すべきだと思うし、その前提で動いています」

東京のように今後、若者から高齢者へと感染が広がることを大阪も警戒しています。

一方、関東では、東京以外でも増加傾向にあります。埼玉県は過去最多の62人。このうち少なくとも21人は、勤務先が都内にあるなど東京に関係しています。神奈川県は緊急事態宣言の解除後で最多の68人。千葉県も、緊急事態宣言の解除後で最多の40人となっています。


■東京五輪 開催のカギを握るワクチンと治療法の最新事情

一方、23日は東京五輪まであとちょうど1年という節目です。IOC(国際オリンピック委員会)のディック・パウンド委員は、NNNの取材に対して「さらなる延期はあり得ず、来年開催できなければ中止になる」という見解を示しています。

1年後に本当にオリンピックが開催できるのか、そのカギを握るのがワクチンや治療薬です。現在、新型ウイルスの治療薬として国内で承認されているのは「レムデシビル」「デキサメタゾン」の2つです。

「レムデシビル」は、アメリカの製薬会社がエボラ出血熱の治療薬として開発したものです。アメリカなどで新型コロナの重症患者に投与したところ、症状が改善したり、回復までの時間が短くなったり、死亡率が低下したりという効果が見られたといいます。

もう一つが、炎症を抑えるステロイド系の「デキサメタゾン」です。こちらは、すでに一般に幅広く使われている薬です。イギリスで、新型ウイルスの重症患者に投与したところ、死亡率が35%低くなったといいます。この薬の特徴は、1日あたり700円程度と比較的安価に処方できることと、流通量が多いことです。

なお、富士フイルムの子会社が開発した「アビガン」は、国産の薬として政府も高い期待を寄せているのですが、これまでの臨床試験では、「早く改善する傾向は見られたものの、明確な有効性が確認されなかった」という結果が発表されています。

現在、富士フイルムの子会社などが改めて治験を行っていますが、対象となる重症患者が少ないため、結果がいつごろ出るかはわからないという状況です。

一方で、「回復者血しょう治療法」という研究も進められています。これは、新型コロナウイルスに感染し回復した人というのは、このウイルスに対する「抗体」つまり免疫を持っていると考えられます。そこで、回復した患者から抗体が含まれる血しょうを採取して、別の患者に投与すれば、その人も治るのではという治療法です。

この研究を進めてる国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は大きな期待を寄せています。

忽那医師「(回復者)の抗体を、抗体をもっていない人に投与するので、理屈からすると効くはずだろうと」

実際に人に投与する臨床試験を目指したいとしています。ただ、どの患者からも抗体を採取できるわけではないなどの課題もあります。

2020年7月23日放送 news every.「ナゼナニっ?」より