馬が転倒し骨折・殺処分も… 「上げ馬神事」見直しへ “動物虐待”の指摘相次ぎ
三重・桑名市の多度大社で行われている「上げ馬神事」は人と馬が一体となり急勾配の坂に挑戦するもので、県の無形民俗文化財に指定されています。壁を乗り越えた回数でその年の作柄を占うこの神事は、先月も多くの観客に見守られながら執り行われましたが、“動物虐待”との指摘が相次いでいます。
三重県によると、先月行われた神事では馬1頭が坂の途中で転倒して骨折し、その後、殺処分になりました。また、馬をはっぴやロープでたたくなど、複数の不適切な行為も確認され、1000件以上の批判的な意見が寄せられているというのです。
この状況に事故防止対策協議会が19日、開かれました。県は坂の構造や馬の選び方などについて、見直しを求めたといいます。
これまでの神事で馬たちが走ってきた道は、傾斜のきつい坂の先に土の壁がそびえたつ構造です。多度大社は坂を緩やかにしたり、壁を低くしたりする方向で馬を奉納する団体と協議することに決めました。
この決定について、街の人に聞きました。
桑名市民
「山が高ければ高いほど達成感はあるだろうけど、ちょうど中間で折り合いがつけばその方がいいんじゃないか」
変化に理解を示す人もいる一方で――
名古屋市民
「虐待だという部分は意識せずに、神をあがめるものじゃないですか。そういう意味合いで、(元の形で)残ってほしい」
人々の意見は賛否が分かれましたが、取材した中で「上げ馬神事自体をやめるべき」という人はいませんでした。
坂や壁についての改善策は今年の末までにまとめられ、来年の上げ馬神事はその内容を反映した形で行われる方針です。