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SNSに「ウソ」の救助要請 背景に“インプレゾンビ”? 能登半島地震、混乱の現場で何が…

2024年6月28日 22:13
SNSに「ウソ」の救助要請 背景に“インプレゾンビ”? 能登半島地震、混乱の現場で何が…

元日に発生した能登半島地震から、まもなく半年となります。当時、SNSには、多くの救助要請が投稿される一方で、ウソの救助要請も相次ぎました。現場で、何が起きていたのでしょうか。

元日を襲った、能登半島地震。

当時、SNSのX(エックス)では、本物の救助要請に交ざって、全く根拠のないウソの投稿も相次ぎました。

Xでのウソの救助要請
「がれきで動けません。助けてください」

救助を求める投稿にあった石川県珠洲市大谷町の住所を、今月上旬訪ねると…そこには、潰れてしまった家が…。

しかし──

記者
「崩れてしまったこちらの家、地震の時には、人はいなかったということです」

家の持ち主の男性は金沢市に住んでいて、この家には長く誰も住んでいませんでした。

ウソの投稿をされた家の持ち主
「なんで、うちの住所が書いてあるんですかね」

「50年以上前に、みんな金沢出てきたもんで、この番地を知ってる人はほとんどいないと思うんです」

輪島市では、実際に、警察が救助にかけつけたケースもありました。

Xの投稿では、「旦那が足を挟まれて出られません」とありますが…ここの住所の男性もその妻も当時、外出していて無事だったといいます。

ウソの投稿をされた住人
「迷惑ですよね。私はまず、ここにもいないし。根本的に、ありえない投稿ですよね」

1月3日には、15人ほどの警察官がやってきたといいます。

ウソの投稿をされた住人
「その投稿を僕に見せてくれて、『この住所って、どこですか』と言って、『ここです』って話から。“救援を求めてる”みたいなことを警察の方は言われたんですけど、『元気です』と伝えました」

当時、救助活動に当たった消防には、疑わしい通報も…。

奥能登広域圏事務組合消防本部 小谷真一 消防司令
「もうこの集落には人がいないのに、まだ救助要請を呼びかけているような所に関しては、慎重に情報を集めていました」

ウソの投稿に翻弄された、救助の現場──。

石川県警 災害対策課 竹原和宏 警部
「(警察がウソの現場に行って)自分やご自身の家族を助けられなかったら、どう思うかということを、自分の身に置き換えて考えてもらえればなと」

一方、本当に救助を求め、投稿していた男性もいます。

救助を求め投稿した男性
「アパートが倒壊しまして、気がついたらもう真っ暗で、身動きが取れず…」

消防・警察など電話はどこにもつながらず、祈るような気持ちでXに投稿。“いつか救助が来てくれるのでは”と、安心できたといいます。

こうした本当の投稿が、多くの“ウソの投稿”に埋もれてしまっていた可能性があるのです。

SNS上の投稿を分析する会社は…

スペクティ 村上建治郎 代表
「(救助要請に関しては)我々の体感でいうと、数千件くらいの投稿があった。これは確実に救助を要請しているなと思うものは、だいたい10件くらいです」

投稿が拡散されると、広告料が手に入る仕組みを悪用し、金銭目的でコピー・拡散する、いわゆる“インプレゾンビ”が多かった、と指摘しました。

スペクティ 村上建治郎 代表
「救助してほしい方の投稿が埋もれてしまうので、見かけた場合は、基本的には何もしないのが一番正しいことかなと思います」

こうした状況に、X社は…

X社
「対策として、疑わしい情報に対して、判断の助けとなるような“参考情報”を、元のポストに添付できる機能を活用している」

政府は、災害時などのネット上の誤った情報発信について、この夏、総合的な対策をとりまとめる予定です。