教えて!東京五輪のギモン「持続可能性」
来年に延期された東京オリンピック・パラリンピック。前例のない延期決定に今後はギモンだらけ。大会運営を取り仕切る大会組織委員会のキーマンがそのギモンに答えます。6回目は、東京大会が目指す「持続可能性」です。
先月28日、オリンピックの聖火リレーが来年3月25日、福島県からスタートすることが発表されました。聖火リレーのランナーが着るユニホーム、そしてこのトーチにも「再生素材」が使われているんです。
オリンピック・パラリンピックは世界最大規模のスポーツイベント。そのため、持続可能性に配慮した大会の準備・運営が求められます。東京大会ではどんな取り組みが行われるのか。組織委員会持続可能性部の荒田有紀さんに聞きました。
持続可能性部長・荒田有紀さん「持続可能性とスポーツは切っても切り離せないことなんです。海面が上昇して海が海岸を浸食するですとか、冬のスポーツでいえば雪が降らなくなるということで、スポーツができなくなる可能性というのもあります」
テーマのひとつが「気候変動」。二酸化炭素の排出量を少なくするため、注目されるのが「水素エネルギー」です。福島県には世界最大級の製造拠点が作られました。
荒田さん「日本はエネルギーを他国に依存する国です。より多くのエネルギーを活用することを考えていく必要がある。水素は使用するときに水しか排出しない。また製造段階で再生可能エネルギーを活用すれば、ライフサイクルでCO2を全く排出しないというエネルギーになりますので、持続可能性の面でも大きくすぐれたものとなります」
水素は聖火リレーのトーチをはじめ、大会関係者を輸送する燃料電池車に使われ、選手村の休憩施設にも供給されます。
また、今回は「資源管理」にも力を注いでいます。選手が手にするメダルは実は、使い終わった小型家電の金属を全国から集め、リサイクル。表彰台も24.5トンの洗剤のボトルなどを集めて制作します。これは大会史上初の試みです。
このような持続可能性の取り組みは気候変動や資源管理だけでなく、差別やハラスメントがない大会を目指すといいます。
荒田さん「持続可能性の取り組みというと環境のことを思いがちですが、人権の取り組みもしておりまして、様々な背景をもつ方が一緒に競技を楽しむことができるような取り組みをしている。東京大会独自の取り組みというものを仕掛けておりますので、多くの方々が参加していただける、気づいていただけるいいきっかけになる」