阿蘇山の噴火警戒レベル 判定基準を見直し 気象庁
熊本県の阿蘇山について気象庁は、去年10月の噴火前に噴火警戒レベルの引き上げができなかったことを教訓に、噴火警戒レベルの判定基準を見直すと発表しました。
阿蘇山では去年10月20日午前11時43分に発生した噴火で火砕流が中岳第一火口から1キロ以上流下しました。
噴火当時、5段階の噴火警戒レベルは「火口周辺規制」のレベル2で、気象庁は火口からおおむね1キロの範囲に影響を及ぼす噴火に警戒を呼びかけていましたが、火砕流が警戒範囲を超えたことから、噴火の5分後に2キロの範囲を警戒対象とするレベル3に引き上げられました。
気象庁によりますと、当時、噴火の前に火山性微動の振幅が増大し火山活動の高まりが確認されていましたが、レベル2から3への引き上げ基準には、あわせて顕著な地殻変動なども確認されることとしていたため、噴火前のレベルの引き上げは行われませんでした。
このため気象庁はレベル3への引き上げ判定基準に「火山性微動の急激な振幅の増大」と「振幅が大きく変動」が起こった場合を新たに追加し火山性微動の大きな変化だけでもレベル引き上げができるように見直しを行いました。
気象庁の担当者は「噴火前に警戒レベルを上げることで地元の安全を確保していきたい」と話しています。
阿蘇山は現在、火山活動は低下した状態で推移していて噴火警戒レベルは1となっています。
気象庁では、全国49の火山で噴火警戒レベルを運用していて、火山活動の状況や新たな知見をもとに随時、判定基準の見直しを行っています。