“宿泊料金は本”本が人をつなぐ「本泊」
宿泊料金は書店に並んでいる本。その名も「本泊」というのをご存じでしょうか?「本」が人をつなぐ香川県高松市にあるゲストハウスの新たな挑戦を取材しました。
古民家を改装したゲストハウス「燈屋」。運営する渡辺大さんは、普段は市内の精神科病棟で勤務していますが、誰もが気兼ねなく交流できる場所をつくりたいと、去年6月にオープンしました。
今年9月から新たに始めたのが本泊。指定された書店で本を買い、ゲストハウスに寄贈すれば、無料で1泊できるというものです。
渡辺さん「本が好きだっていう人は、いろんな世界があることを楽しめるっていう嗜好性があって。そういう人とだったらお互いが求め合える関係になれるのかな」
取材した日に訪れたのは徳島県からの利用客です。
渡辺さん「本と一緒に、その人自身を置いていってもらいたいなと思っています」
利用客「選ぶ本がすごいプレッシャーですね」
チェックインを終え、近くの書店へ。自分が読みたい本ではなく、ゲストハウスの本棚に置く本を選ばなければなりません。
利用客「なかなか難しいですね」
それでも、本を選びながらの会話は弾みます。
利用客「このあたり、僕のやっている仕事に近いですね。コミュニティーづくり。地域のコミュニティーって、なかなかあるようでないようで。結構、複雑なところが多いので」
たくさんの本の中から最近読んだばかりの本を見つけたようです。
利用客「人間関係の改善に役立つ本です。(渡辺さんと)思った以上に深い話ができたなって。本をベースに話をする人がなかなか周りにいないので」
渡辺さん「どうしてその本と出会ったんですか、という入り口・手がかりがあるというところから、その人の人となりが出てくるような話に出会える」
本を選び、語らい。そこには交流の場をつくろうとする渡辺さんの思いがありました。
渡辺さん「ただ泊まるだけじゃなくて、地元の人とのふれあいも楽しんでもらいたいと思っています」
本をきっかけに生まれる人とのつながり。ゲストハウスの新たな形がそこにはありました。