イカの漁場に“違法中国漁船”急増 なぜ?
日本海の「大和堆」と呼ばれ、イカなどが多く捕れる豊かな漁場にいま、異変が起きています。この海域では、これまで北朝鮮の漁船が違法に操業するケースが多かったのですが、ことしは激減し、代わりに中国の漁船が急増しているということです。
石川県能登町(のとちょう)。こちらの道の駅で人気メニューだというのが、日本海でとれた海の幸、スルメイカを刺身で味わえる御膳です。
ただ、店にとって頭を悩ませる問題が…。
株式会社こっしゃえる 山下久弥代表「(イカの)漁獲がいっぱいあれば、値段も安く提供できるんですけど。利益にはなりません」
今はイカがなかなかとれず、このままだとメニューの価格の変更も検討せざるを得ないと話します。
なぜ漁獲量が減っているのでしょうか。
訪ねたのはスルメイカの水揚げ港として知られる、同じ能登町内の小木港(おぎこう)。
冷凍庫の中にはたくさんの段ボールの箱が。
「(イカがいっぱい冷凍されていますね)これは船の中で冷凍しています」
実はこのイカの漁場周辺で、異変が起きているというのです。
石川県漁協小木支所 白坂武雄参事「今年の場合、北朝鮮の船がほぼゼロに近い。その代わり中国船が200隻、300隻、もっといると思いますけれど。大挙して入っている。漁師の方にとっては大変な怒りですよね」
レーダーの写真を見せてもらうと。
「(この黄色いポツポツは)これは中国の違法漁船だと思われます」
日本のEEZ、排他的経済水域内に中国漁船が違法に入り、イカなどをとっているといいます。
日本海の好漁場、大和堆。水深が浅くイカなどがよくとれる漁場としてしられていますが。
近年は大和堆周辺に多くの違法の北朝鮮漁船が。
そのため、海上保安庁が放水するなどして対応していました。
それが今年は、中国漁船が急増。
水産庁によりますと去年、中国漁船に退去するよう警告した船の数は、のべ1115隻でしたが、今年は10月末時点ですでに、のべ3828隻と3倍以上の数になっているといいます。
ではなぜ、北朝鮮漁船が減り、中国漁船が急増しているのでしょうか。
ある政府関係者は「北朝鮮が自分たちの漁業権を、中国側に売却・譲渡したのではないか。漁業権を譲ったから最近、北朝鮮の漁船が来なくなったんだと思う」
石川県漁協小木支所 白坂武雄参事「国の方に早くお願いして、一刻も早くこの現状を打開していただきたい。これがもう数年続くとなれば、みなさん漁業経営自体が危なくなってくるので」
漁業関係者から上がる悲痛な声。
こうした声に対し、先ほど加藤官房長官は…。
加藤官房長官「極めて問題と考えております。安全操業の確保に、しっかりと取り組んでいきたい」
外国漁船の監視・警戒にあたると強調しました。