6434人が亡くなった阪神・淡路大震災から17日で30年。被災地では追悼の祈りが捧げられ、当時を思い出したり、大切な人を失った悲しみを新たにしたりする人たちの姿がありました。その経験と教訓は、震災を知らない世代にも受け継がれています。

■被災した人らが黙祷…それぞれの思い

「本当に早いもんやで。30年」

兵庫・神戸市中央区の東遊園地。地震が発生した午前5時46分、集まった人々が黙祷しました。灯籠の前で手を合わせる人、目頭をぬぐう人、碑の前で膝をついて祈る人。17日、阪神・淡路大震災から30年を迎えました。

神戸市の家族
「次の世代にこの子らの命をしっかりつないでいかないと」「亡くなった人たちのお見舞いができてよかった」

同市東灘区で被災した人（46）
「見た目は復興もして、きれいな街にはなっているんですけど、いろんな思いがあふれてしまうような、そんな期間だったかなと思います」

同市灘区で被災した50代
「本当に道も車も街がむちゃくちゃになっていたんで。それは今でも鮮明に思い出されます」

■灯籠で描かれた「よりそう」の文字

姉を亡くした81歳
「姉がいなくなって30年もたったんだな。なぜかここに来ると、涙が出るんですよね。30年もたっても」

東遊園地に灯籠で描かれたのは、「よりそう」の文字です。阪神・淡路大震災だけでなく、東日本大震災や能登半島地震など、災害によって被災した人や街に寄り添い続けるという思いが込められました。

知人を亡くした55歳
「30年という、すごく早い感じもしますし、昨日のようにも思いますし。亡くなった方も大勢おられる中で、命ある限り一生懸命生きていこうと思っています」

■公園で避難生活を送っていた人も

1995年1月17日。最大震度7の揺れが夜明け前の街を襲い、6434人の命が奪われました。

当時公園で避難生活を送っていた神戸国男さん（71）に聞きました。

神戸さん
「（震災当時）先のことなんて考えられなかった。（公園での）生活がまさか1年も続くなんて思ってなかったし、会ったこともないような人がなんでこんな一生懸命にしてくれるのかなと。それがすごくありがたかった」

■神戸の街に…追悼のトランペット

兵庫・芦屋市の西法寺。当時、お風呂として被災者の体と心を温め続けたドラム缶が、追悼の鐘として震災の記憶を紡いでいます。

街を一望できる、神戸市中央区のビーナスブリッジ。夜明け前の神戸の街に、追悼のトランペットが響き渡りました。

演奏を続ける松平晃さんは「来るたびに街の明かりがどんどん増えている。復興が進んでいるひとつかなと思っています。家族での団らんの場などを、大事に作り上げてほしいなと思っています」

■天皇陛下「知見を次の世代へ」

天皇皇后両陛下は、即位後初めて追悼式典に出席し、犠牲者に黙祷を捧げられました。

天皇陛下
「これからも震災の経験と教訓を基に、皆が助け合いながら、安全で安心して暮らせる地域づくりが進められるとともに、そこで得られた知見が国の内外に広がり、次の世代へと引き継がれていくことを期待いたします」

■歌い継ぎ、寄り添い続ける子どもたち

神戸市東灘区の住吉小学校を訪ねました。

同級生4人を亡くした教員が語りかけます。「今みんな、なんとなく生きているじゃないですか。あしたもみんな生きていると思っているでしょ。命は急に終わるかもしれない」

児童たちは、復興を願って神戸の街で生まれた歌『しあわせ運べるように』を合唱しました。震災を知らない世代も、歌で寄り添い続けていきます。

6年生
「親が友達を亡くしてしまった。私も今は友達に恵まれて、当たり前に生きられている状況をしっかり頭に残して、毎日を大事に生きていきたいです」

別の6年生
「学校に行って、そのときに地震が起きて親にもう会えない可能性もあるので、『ただいま』とか『おかえりなさい』とか『行ってきます』の挨拶を毎日していこうと思いました」

震災から30年。経験と教訓は、次の世代へ受け継がれています。

（1月17日『news zero』より）