【解説】能登半島地震から3か月 地震活動はいまだ活発 地面動き続ける「余効変動」も
4月8日から14日までの期間、国内では震度1以上の地震が44回ありました。
▼8日午前10時25分頃、宮崎県日南市で震度5弱の揺れを観測する地震がありました。震源は大隅半島東方沖で、地震の規模を示すマグニチュードは5.1、震源の深さは39キロでした。この地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域から少し外れたところで発生した地震です。
▼8日午後10時29分頃、石川県珠洲市で震度3を観測する地震がありました。震源は石川県能登地方、マグニチュードは4.1、震源の深さは13キロでした。
▼12日午後6時頃、鹿児島県奄美市などで震度3を観測する地震がありました。震源は奄美大島近海、マグニチュードは4.9、震源の深さは41キロでした。
元日の最大震度7を観測した能登半島地震の発生から3か月あまりが経過しましたが、能登地方とその周辺では、地震活動が依然として活発な状態です。
気象庁によりますと、今年1月1日から今月12日午後4時までに、石川県能登地方とその周辺では震度1以上の地震が1792回発生しています。月別の震度1以上の発生回数は時間の経過とともに、減少しています。
▼1月は1558回
▼2月は144回
▼3月は70回
▼4月は20回(12日午後4時時点)
能登地方では2020年12月頃から地震活動が活発となり、群発地震活動が続いています。こうした中、2022年6月19日には、石川県能登地方を震源とする最大震度6弱を観測する地震がありました。さらに、去年5月5日には能登半島沖を震源とする地震が発生し震度6強を観測しました。去年までは能登半島の先端に位置する珠洲市を中心に地震がおきていましたが、元日のマグニチュード7.6という大地震が発生したことによって活動範囲が能登半島の全体と周辺の海域に拡大しました。
能登地方での震度1以上の地震発生回数は去年までは1か月に10回程度、多い時でも20回程度でした。しかし、先月は1か月に70回発生していることなどから、現在も地震活動が活発な状態となっています。
今月9日、政府の地震調査委員会は定例の会合で、「2020年12月以降の一連の地震活動は当分続くと考えられる」「能登地方とその周辺では今後も強い揺れや津波を伴う地震発生の可能性がある」と評価しています。また、政府の地震調査委員会の平田直委員長は、「元日におきた大地震の影響が無くなったとはみていない」との見解を示しています。
元日の能登半島地震では、マグニチュード7.6という大地震によって、能登半島の西側を中心に大きな地殻変動が観測されました。国土地理院によりますと、最大で約4メートルの隆起し水平方向に約3メートル変動したということです。
大規模地震では、その地震が発生した時だけでなく、その後も地面がゆっくりと動き続ける「余効変動」という現象がおきることがあります。2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震でも余効変動が観測されました。さらに、東北地方では、東日本大震災の影響で、現在でも変動が続いているといいます。
国土地理院によりますと、能登半島とその周辺では、元日の地震後から先月14日までの累積で、水平方向に最大2.5センチ程度移動し、上下方向は、最大5センチ程度下に沈み込んでいることが観測されているということです。
さらに「余効変動」は関東地方にも及んでいます。茨城県でも余効変動が観測されていて、元日に発生したマグニチュード7.6の地震は広範囲に影響を及ぼすほど大規模な地震だったことがわかります。
■余効変動は大地震につながるものではない
国土地理院は「余効変動」を詳しく分析することで、私たちが見ることができない地下の構造がわかり、断層への力のかかり具合や力の蓄積過程を理解することにつながると話しています。
また、余効変動は非常にゆっくり動く現象のため、人が揺れを感じることはなく、被害が出るようなものではありません。地震の専門家で、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんによりますと「余効変動が大きな地震の発生につながるということではない」ということです。
また、能登半島とその周辺では現在も地震活動が活発な状態のため、家族などと話し合いの場を持ち、家の中や自宅周辺に危険な場所がないかを確認し、家具を壁に固定するなどの転倒防止対策が重要だということです。