タマネギ高騰いつまで? 卸売価格平年の約3倍に…不足解消のカギは“北海道産”の収穫量か
タマネギの価格が高騰し、卸売価格は平年の約3倍となっています。この高騰がいつまで続くのか、カギを握るのは「北海道産のタマネギ」だということです。
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タマネギの産地・淡路島の料理を出す、東京・中央区にある飲食店「淡路島と喰らえ 銀座コリドー店」の看板メニューは、熱した溶岩の上に、まるまる1個分の蒸したタマネギをのせる「淡路玉葱溶岩焼き」です。
タマネギ料理を中心に出すこちらの店を悩ませるのは、タマネギの値上がりです。
「淡路島と喰らえ 銀座コリドー店」 中里誠店主
「(タマネギの仕入価格は)1.5倍から2倍近くは上がっていますね。ゴールデンウイーク明けくらいからですね」
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先月、4個214円でタマネギを売っていた、東京・墨田区にあるスーパーでは、さらに値段が上がっていました。
スーパーイズミ 五味衛社長
「今は2個とか3個とかで250円です。40年商売やっていて、こんな…タマネギじゃないような値段ですから、ちょっとビックリですよね。(高値が)ちょっと長く続きすぎちゃっている」
スーパーに買い物に来ていたお客さんも、値上がりしたタマネギについては――
来店客
「いため物とかは、タマネギを減らしてネギを入れたりとか…でもやっぱり、カレーとか肉じゃがはタマネギがないとおいしくないから、ちょっと献立から外そうかな…とか。子供の離乳食とかにはやっぱり、いろいろ食べさせたいので、『高くてもしょうがないか』という感じで食べさせたりしています」
来店客
「(値段が)2~3倍になっているなと思って、びっくりしています。タマネギから離れちゃいそうな感じがします…」
タマネギの価格の上昇が止まりません。26日時点の卸売価格は1キロあたり290円と、平年と比べおよそ3倍になっていました。
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千葉県白子町では、恒例イベントの“タマネギ狩り”に、さまざまな影響が出ていました。
細谷農園 細谷啓子さん
「いつもは“タマネギ狩り”はここら辺(の数列分)ぐらいで、(畑の)一番奥までいくことはめったにないんですけど、今年はトラクターで耕してあるあそこまで進んでしまって」
この農園では1200円で10キロまでタマネギをとることができるとあって、ゴールデンウィークの初日に、例年の1か月分の来園者が訪れたといいます。
細谷さん
「タマネギの価格高騰を受けて、直接いらっしゃると安く手に入るということを踏まえて、より多くのお客様がいらっしゃったかなと」
来園者が多かったことから、今年はすでに受付を終了したということです。盛況だった一方で、開催期間を半月以上残し、早々に終了した農家もありました。
白子町玉葱出荷組合長 大矢忠一さん
「(組合の農家)3分の1は従来のサービス(“タマネギ狩り”)、残りの3分の2は、どちらかというと高い市場の方に(出荷している)」
市場価格がタマネギ狩りの3倍以上になったため、市場への出荷に切り替えた生産者も続出したということです。
大矢さん
「お客さんに対する今までの、22年近くものお付き合いが、ここでご迷惑をおかけしたという…」
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そもそも、タマネギの高騰が続く背景にあるのは、産地で起きた“生育不良”です。
全国の出荷量の約7割を占める北海道は、去年夏に起きた干ばつなどの影響で、不作になっていました。3月から出荷が始まる、全国2番目の佐賀県では、出荷時期の前半で、低温などの影響で生育が遅れました。一方で、9月ごろまで出荷が続く、全国3番目の兵庫県は、今のところ生育が好調だといいます。
しかし農水省は、去年から続く不足感を補うには至らず、当面の間、価格は戻らないとみています。
価格が下がるには、8月に収穫をむかえる北海道での供給量が安定する必要があるといいます。では、その北海道産タマネギの生育状況は、どうなっているのでしょうか。
――ちょっと生育が遅れている?
片桐Farm 片桐邦博さん
「遅れていますね」
「ここ(葉の先)が黄色くなってるのは、水が足りない(サイン)。畑が乾いちゃってて、水を欲しがっていますね」
今年も雨が少なく畑が乾き、タマネギの生育が少し遅れているといいますが、取材中に約2週間ぶりの雨が降ってきました。今後の雨次第では、平年の収穫量を期待できるということです。
片桐さん
「このまま、ずっと降ってほしいです。恵みの雨になってほしいですね」
北海道は、あと2か月ほどでタマネギの収穫をむかえるため、今後の天気に期待がかかります。