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「海苔」が売り上げ好調でも行き場を失う…

2021年1月8日 21:58
「海苔」が売り上げ好調でも行き場を失う…

日本の食卓に欠かせない「海苔」。近年、不漁の影響で高値傾向が続いています。その海苔が行き場を失い、食品会社の倉庫に積み上げられていました。売り上げは好調のはずですが、一体何が起きているのでしょうか。

割る音が食欲をかき立てる、日本が誇る海の恵み。食卓でもおなじみ「焼き海苔」です。この海苔を作っているのは、都内にある海苔を専門に扱う食品会社。江戸前や九州有明産など全国各地から海苔を取り寄せ、自社の工場で加工、販売を行っています。

高まる巣ごもり需要を受けて、家庭用の海苔は好調だという、こちらの会社。ところが倉庫を案内してもらうと、うずたかく積み上げられた段ボールの山が。そして、この中には。

金原海苔店・金原満社長「業務用の海苔で使われますね」

そば店のきざみのりや、ラーメン店のトッピング。寿司店の軍艦巻きなどに使われる、いわゆる業務用の海苔が含まれています。こちらの会社では、主に飲食店やスーパーなどに卸していているといいますが、この業務用の海苔が今。

金原満社長「(業務用海苔は)3~4割減くらいで(売り上げが)落ち込んでいます。またここへ来てラーメン屋さんですとか居酒屋さんですとか、海苔を使う業種の方たちが苦戦を強いられているのが現状で」

新型コロナの影響で、飲食店などからの注文が減り、在庫を抱えざるを得ない状況となっているのです。外食苦境によって行き場を失う業務用海苔。

実は、その要因は1つだけではありません。埼玉県にある食品会社の工場では、スーパーで販売する、お弁当やおにぎりなどを製造。業務用の海苔は欠かすことはできません。

中でも主力の商品はやはり。フィルムで覆われているので海苔はパリッパリのまま。外出先や職場でのランチなど手軽に食べられる、おにぎりです。しかし、ここでも。

アグリフーズ・中埜智之社長「通常だと7000個くらい(おにぎり)作っていたんですね毎日。それが5000個くらいまで減ってしまっていますね」

ステイホームで、料理をする人が増えたためか、おにぎりが苦戦。スーパーからの受注が減少し、使用する業務用海苔の枚数が減っているといいます。

中埜智之社長「一番困っているのは海苔屋さんですね。海苔屋さんは泣いてますよね」

さらに、影響が懸念されるのが、コンビニでの中食の苦戦です。日本フランチャイズチェーン協会が行った調査では、おにぎりや弁当などを含む日配食品の売り上げは、前年比6.6パーセント減少。
在宅勤務や外出自粛が続いたことなどが、来店客減少の要因とされています。緊急事態宣言で、さらに落ち込みが懸念される海苔。業界として今大事なことは。

金原満社長「生産者の方に頼むのは、少しでもおいしい海苔を作っていただく、それを私どもはお客様に提供する。海苔の商売は歴史が日本人にとっては本当に長いですから、いかに消費者に喜んでいただける海苔を提供するか。(苦境を乗り切る)第一条件だと思いますね」