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コロナで“海苔”ピンチなぜ?二重の打撃も

2020年12月7日 20:16
コロナで“海苔”ピンチなぜ?二重の打撃も

飲食店を訪れる人が少なくなる中、おにぎりやお寿司に欠かせない海苔の需要も減少しています。生産者にとっては苦しい状況が続く中、ある海苔の産地では生産が危ぶまれるほどの事態まで起きていました。

ウニやイクラなどの軍艦巻きや巻物、手巻きなど、多くのすし店にとってなくてはならない海苔。

北海寿し・後藤治店主「あまり口に残らず香りの立つ海苔を(問屋に)選んでいただく」

寿司の味を左右する海苔、こだわる店は少なくありません。近年生産量が減り高値となる年もありますが、今年はピンチだといいます。

北海寿し・後藤治店主「12月の宴会需要がまったく見込めない」

新型コロナの影響で忘年会などの予約はゼロ、今月使う海苔の量は半分ほどに減ると見込んでいます。

影響はあの“ブランド海苔”にも。都内の海苔専門店で焼かれていたのは、お歳暮などにも重宝される九州有明産の焼き海苔です。年末に向けた今が大事な“かき入れ時”ですが――

守半海苔店・小谷千砂子代表「今年は、やはりコロナ禍ということで静かに過ごされているというか、あまり通常やること(お歳暮)をやらない。お客さんも“買い控え”をしているのかなと」

お歳暮用の海苔の注文は、例年に比べ2割から3割ほど落ち込むおそれがあるといいます。

新型コロナの影響で、一部需要が減少傾向にある海苔。“二重の打撃”に悲鳴を上げているところも。

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三重県の答志島は海苔の養殖で有名ですが、生産が危ぶまれるほどの事態に陥っています。その原因は…。

海苔漁師・齋藤勇人さん「ここわかりますか?」

よく見ないとわからないほど小さなもの。なんと、ワラだというのです。

海苔漁師・齋藤勇人さん「こういう海苔はクレーム対象になるので出荷できないんです」

なぜ“異物”が混じった海苔が出てきてしまうのでしょうか。答えは海苔が育つ海そのものにありました。

答志島の漁師・小浦嘉門さん「このプラスチックなんて(以前は)全然なかったんですけどね。わずか2週間かそれくらいで、たくさんのプラスチックとか、ゴミが流れてきます」

あたり一面、ゴミの山。

ペットボトルなどのプラスチックゴミや流木など、これらは川から海へと流れてきた「漂着ゴミ」です。

ほとんどの海苔に影響はありませんが、どうしてもごく一部に選別しきれない小さなゴミが混じってしまうといいます。そしてここにも新型コロナの影響が出ています。

答志島の漁師・小浦嘉門さん「今年は特にコロナで(答志島に清掃の)ボランティアが入らない。ゴミがたくさん集まってきている」地道に清掃活動を続けていますが、メドはまったく立たず。漁師は不安を募らせています。